ダチョウの卵は世界を救う しかし日本は救えないかも

ダチョウの卵を活かすも殺すも厚労省の役人次第

ダチョウの卵を使って、新型インフルエンザの抗体を大量生産する技術が実用化されようとしている。開発したのは京都府立大学の塚本康浩教授。
これが実現すれば、今心配されている新型インフルエンザのパンデミック(世界大流行)が防げるかもしれない。ダチョウの卵は世界を救うかもしれないが、肝心の日本は救われないかもしれない。日本の学閥、厚労省の役人根性が、画期的なダチョウ由来の抗体の流通を妨げかねないからだ。厚労省の役人が日本絶滅のボタンを押さないことを祈るのみだ。

塚本康浩教授が作った新会社

オーストリッチファーマ株式会社という会社がある。設立は08年6月27日。代表取締役は塚本康浩教授。本店所在地は、京都府精華町光台1−7けいはんなプラザ・ラボ棟410、塚本教授の研究室だ。
 会社名の中のオーストリッチは「ostrich」、ダチョウの意味。ファーマは、農場の「farm」から取ったのだろうか。塚本教授は、この会社で4か所の牧場を開設、ダチョウ500羽を飼っている。現在のインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスを、孵化する前の卵に接種して増殖させて作っている。塚本教授は、鶏卵の30倍の大きさのダチョウの卵を使えば、大量にワクチンが作れるかを考えた。

抗体作成のコストは従来品の400分の1 大量生産も可能

 塚本教授は無毒化した病原体をダチョウに打つと、体内に抗体が作られ、そのダチョウが産んだ卵には病原体の抗体が含まれる。ダチョウの卵の重さは鶏卵の30倍。塚本教授は科学技術振興機構などの支援を得て、ダチョウの卵黄から抗体を抽出する方法を3年かけて開発した。その結果、卵1個から4グラムの高純度の抗体が取れた。鶏からとった抗体は1グラム約4億円、ダチョウなら10万円でできる。ダチョウの餌は農家が生産調整で捨てるもやし。えさ代がかかるどころか、引き取ることで逆にお金がもらえる。このため食費がほとんどかからない。
新型インフルエンザの出現後でも、ダチョウが3000羽もいれば、半年で日本の人口分の抗体が作れるという。

ダチョウ抗体入りマスクは実用化

塚本教授は、ダチョウ抗体をフィルターに封じ込めたマスクを実用化し、すでに販売している。ウィルスがマスクの中のフィルターを通るとウィルスが不活性化する。1日マスク300万枚以上の抗体が作られているが生産が間に合わない。大企業が50万枚、100万枚単位で購入していくため、個人向け需要には追い付けていないという。
ダチョウ抗体マスクは、クロシード株式会社(TEL:0948-29-1761)で予約を受け付けている。後述のTV放映の段階で09年2月上旬の発送となっていたから、TV放映後の今予約した場合はさらなる遅延が予想される。

抗体ワクチンも実用化にめど

 塚本教授は08年夏、ダチョウ抗体を持って、インドネシアの研究施設を訪れる。入口にはバイオハザードのマーク(http://www.tbs.co.jp/yumetobi/index-j.html)があり、中には実験用マウスが多数ケージの中で飼われている。マウスを2グループ、5匹ずつに分ける。1グループにはダチョウ抗体を注射、他方には注射しない。その双方のグループにH5N1鳥インフルエンザウィルスの培養液を飲ませる。3日後再訪すると、抗体を注射したほうのグループのマウスは5匹とも生存し、しないほうのマウスは5匹中4匹が死亡していた。
 塚本教授は今後も海外の企業と連携して抗体の開発を進めるという。日本で臨床試験を行っていたのでは、いつ承認されるかめどがつかないからだろうか。

学会、厚労省がつぶしにかかる可能性

 塚本教授の開発した抗体作成技術が、実際に新型インフルエンザ予防に著効を示すものだとしたら、画期的なものとなる。世界を救うものになろうが、果たして日本は救われるだろうか。日本の場合、いくら画期的な抗体を塚本教授が作っても、学会が認めない可能性がある。塚本教授は獣医学の学者だ。しかも東大、京大といった旧帝国大学系でもなく、医学部も持たない京都府立大学の教授だ。東大医学部、京大医学部が幅を利かせる学会では、妬み等から、なかなか認めてもらえないのではないか。
 さらに難関は厚労省だ。厚労省は、現在進めているワクチン製法での製造に、予算をもらっているのに、こんなものを認めたら、現在の製法によるワクチン配備の予算が削られると、それだけを考えてこのダチョウワクチンの普及に断固反対する可能性がある。
 そういったときは政治主導で厚労省の妨害を打破してほしい。
(参考)
2008年12月21日放送のTBS「夢の扉〜NEXT DOOR」
http://www.tbs.co.jp/yumetobi/
オーストリッチファーマ株式会社の企業概要
http://www.jst.go.jp/pr/info/info534/sanko.html
東京新聞08年12月16日朝刊
パンデミックについてはこちらのブログをのぞいてみてください。
 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20081222/1229925130 
※町田市病院の院内感染 これが新型フルだったらどうなる!
 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090120/1232420825