国産H5N1プレワクチン 本当に効くのか

プレワクチンと新型インフルワクチンの違い

 ワクチンというのは無毒化したウィルスを使って生産する。したがって実際ウィルスが発生しないと、そのウィルスに効くワクチンはできない。
 今発生しているH5N1鳥インフルエンザは、まだ鳥からヒトに感染する力しか持っていない。怖いのはヒトからヒトに感染する新型インフルエンザだ。厚労省が3000万人分備蓄しているプレワクチンは鳥インフルエンザから作ったもの。新型インフルエンザに効くかどうかは未知数だ。

国産プレワクチン、実は海外プレワクチンに大敗

 神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長の菅谷憲夫氏は、欧州医薬品庁(EMEA)作成のガイドラインに基づいて、国産のH5N1プレワクチンと海外のプレワクチンを比較したところ、海外製プレワクチンが国産プレワクチンに比べてはるかに有効であることを立証した。
 EMEAの基準によれば、抗体陽転率40%以上、抗体変化率2.5倍以上、抗体保有率70%以上が合格基準だが、国産はそれぞれ15.4%、2.56倍、17.4%と3基準のうち1つしか達成していない。それに比べて海外製プレワクチンは、82%、2.79倍、84%と3基準すべてをクリアしている。
 しかも、1回分のワクチンに必要な抗原量は、国産が15μg、海外が3.8μg。緊急に大量の製造が必要となるプレワクチンとしては海外プレワクチンの方が極めて有利だというのが分かる。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/200808/507456.html

厚労省2種類のワクチン接種で著効と主張

 しかし失敗を認めないのが霞が関だ。厚労省はとてつもない奇策に打って出た。4月6日、巨額の予算を使って国産欠陥ワクチンを作った研究グループが、「06年の治験時にベトナム産ウィルスで作られたワクチンを接種し、かつ、08年にインドネシア・中国産ウィルスで作られたワクチンを接種した」被験者が、08年に一回だけワクチンを摂取した被験者に比べて、幅広い効果が出たという結果を発表したのだ。
 はたして本当だろうかという気がしてならない。