新型インフルエンザ たった一人の感染者入国で首都圏半数が感染

京都市圏交通計画協議会の予測

 東京都市圏交通計画協議会が、感染者1人が入国した場合について一定のシナリオのもと感染経緯を予測した。すると、感染拡大は25日目にピークに達し、外出自粛要請などの対策を何もとらなかった場合、通勤通学などを通じてウィルスが広がり、最終的には首都圏住民の51.6%が感染するという予測がまとまった。シナリオとはこんなものだ。もし全部の学校を休校にし、通勤人数を4割減らした場合は、感染率は19.1%に下がるという。
「海外で新型インフルエンザに感染した1人の会社員が、感染3日目に帰国し、八王子の自宅に戻り、4日目に丸の内の勤務先に出社してから発症、病院で新型インフルエンザと診断され隔離入院、7日目から自治体の感染対策が始動した」
朝日新聞09.2.24夕刊)

京都市圏交通計画協議会とは

 この協会は、国交省、東京都ほか4県等で構成され、パーソントリップ調査と言って、「どのような人が」「どのような目的で・交通手段で」「どこからどこへ」移動したかなどを調べる調査を行っている。この調査の結果、鉄道や自動車、徒歩といった各交通手段の利用割合や交通量などが得られ、これらは様々な交通計画の基礎資料となっている。このPT調査結果を、新型インフルエンザの感染拡大予測に活かしたのが今回の予測結果だ。

たった一人で!たった25日で!しかも首都圏住民の過半数が感染!

 この記事を読んだ人はかなり衝撃を受けただろう。たった一人が入国しただけで、しかもたった25日で感染ピークを迎え、しかも首都圏住民過半数が感染するというのだ。
 まず感じたのが、入国管理体制だ。一応政府の見解ではヒトからヒトへの感染が確認され、世界的流行(パンデミック)の兆候が現れたら、流行国からの渡航禁止、入国施設を成田等数か所に限定することになっている。厳格な入国審査を行うためには、入国人数もかなり絞る必要があるだろう。
 次に感じたのは、ワクチンの無力である。ワクチンが完成するのに6か月がかかる。となれば、ウィルス発見後半年以内に日本国内に感染してしまえば、ワクチンは間に合わない。