小型原子炉開発の隠れた問題

東芝小型原子炉開発

 東芝は、出力1万kwの超小型原子炉を開発し、2010年秋にも米国の規制機構に設計認証を申請する。送電網が未整備の地域での需要が見込まれる。運転や保守に手がかからず済むように、燃料交換を約30年間不要にするとか、故障時には自然停止するなどの安全性にも配慮しているという。
 しかし、このような原子炉が実現したら、小型艦艇、潜水艦に搭載することで可能になってくるかもしれない。そうした理由で開発がストップになるということはないのだろうか。
 現在の原子力潜水艦は、30万kwほどの原子炉を搭載し、1万8000tほどの水中排出量を持っている。専門知識がないため、どの程度正確かは知らないが、商用原子炉は、艦船用原子炉の2,3倍の効率があるようなので、1万kwの商用原子炉であれば3万kw程度の艦船用原子炉に相当する。となると、単純計算で1800tほどの潜水艦ならこの程度の原子炉でも十分ということになる。これは第2次大戦中のUボート並みの規模の艦になるし、2個使えば、3600t、現在の海上自衛隊保有の潜水艦並みになる。
※因みに原子力空母搭載の原子炉は100万kw以上の発電量を持っている。

ビルゲイツと提携

 東芝は10年3月23日、ビル・ゲイツが資金協力する新興企業テラパワー社が開発を目指す次世代型原子炉から技術協力の要請を受けたことを明らかにした。
 テラ社が開発を目指す次世代原子炉「TWR」は従来型が濃縮ウランを燃料に使うのに対し、ウラン濃縮に伴う副産物の劣化ウランを使用し、数年おきに燃料補給が必要な従来型に比べて、長期間燃料を交換しなくて良いという夢のような原子炉だ。東芝の小型原子炉の技術を転用できることと、テラパワーに原子炉製造のノウハウがないため、今回の提携要請となったようだ。
 まだ提携話があっただけなので、今後の交渉次第だ。
(10.3.23追加)