09年の米銀破たんは100社に

破綻数はさらに増える見込み

連邦預金保険公社=FDICは、10月23日、地方銀行7社が経営破綻したと発表。09年の米金融機関の破綻は累計106社となった。米上場金融機関のうち、150社超が不良債権比率が危険水準の5%以上に達しているという。FDICは、経営に難点のある金融機関が6月末時点で416社あると見ており、破綻数はさらに膨らむ見通しだという。
 FRBは10月21日、地区連銀報告=ベージュブックを公表。その中で「ほぼ全域で安定化もしくは緩やかに回復している」と指摘し、米景気が底を打ったとの認識を示した。しかし、同報告は同時に「商業不動産は最も弱い業種で悪化が継続している」「物価や賃上げ圧力の上昇はほとんど見られない」「幾つかの地区で銀行業の不振が継続、信用の質が悪化している」と指摘。地銀の経営破たんはこうした指摘を裏付けている。

商業用不動産向融資の延滞率急増、CMBS暴落の危機

 米銀では不良債権が増加し、貸倒引当金も増加が止まらない。今後の一番の不安要素が、ベージュブックも指摘するように商業用不動産向け融資だ。
 商業用不動産融資を証券化したCMBS。この延滞率は7月に3.14%と、前年同月に比べて2.65ポイント上昇。延滞率は過去1年間で約6倍に上昇した(日経09.9.6)。金融機関が保有する同融資と関連の証券化商品の残高は約2兆ドル。サブプライムローンの1兆ドル強の二倍の規模だ。
 米国の中小金融機関は不動産融資への依存度が約7割と高い。地元企業に有力な融資先がないのは日本と同じ。銀行が貸し付けるのは、自然住宅ローンが、商業不動産ローンとなる。商業不動産の中心はオフィスビルと、ショッピングモール。リストラにより事務所閉鎖が相次ぐ中、オフィスビルは空室が増え、賃料も低下。消費の低迷でショッピングモールもテナントの撤退が続く。今後も悪化が続く可能性が高い。

勝ち組、負け組の明暗くっきり

 米金融大手6社の7〜9月決算だが、バンカメは10億ドルの赤字。シティは1億ドルの黒字。JPモルガン、ウェルズファーゴ、ゴールドマンサックスが30〜35億ドルの黒字といったところ、負け組と勝ち組がすっかり分かれた感じだ。
 もっとも勝ち組も、個人、企業向け融資部門は振るわず、証券市場で稼いでいるだけ。米国の景気回復をいう声もあるが、実体経済は全く立ち直っていない。米企業の黒字転換も、人件費等の徹底した経費削減のおかげである。米銀の収益構造はリーマンショック前と全く変わっていない。ことにゴールドマンサックスは、ライバルのリーマンが去り、我が世の春を謳歌している。
 大手3行(シティ、バンカメ、モルガン)の融資残高は、4四半期連続で減少し、前年同期を2300億ドル下回った。FRB政策金利をゼロ近くまで下げ、マネーが潤沢に供給される環境が整っているが、結局、米企業には回らず、株価を支え、商品価格を押し上げるだけだ。