アコムも早速7月10日判決を言ってきた

アコムからの電話

 アコムの公的応対センターから電話が来た。公的応対センターという一風変わった名前の部署は、弁護士が過払請求する場合移管される部署である。
「先生、7月10日、7月14日に最高裁判決が出まして、リボ払いの場合は、悪意の受益者とは推定されないということになったんですよ。」
ええ?逆でしょ?と思いつつ対応。
「あの判例は、アコムさんには関係ないんじゃない。あの判例は、シティズの案件で、あそこは17条書面、18条書面をきっちり出してくるし、そうした要件を満たしていれば、みなし弁済が成立すると信じるにつき特段の事由があったと。単に、期限の利益の喪失約款があると言うだけで、悪意の受益者でないと推定することはできない、と。そういった判例でしょ。」
アコムさんは全部17条書面、18条書面出せるの?それに、貸付の都度、返済回数、返済額を書いた書面を渡してきたって言えるの。訴訟でも言ってきてほしいね。その主張を。反論するから。」
 「いつか言ってくるだろうな」と楽しみにしていたが、結構反応が早かった。

準備書面に書くべき反論

 貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,民法704条の「悪意の受益者」であると推定される(平成19年07月13日付最高裁判所第二小法廷判決・平成17年(受)第1970号事件)。
 最高裁平成21年7月10日付第2小法廷判決は、最高裁平成19年7月13日付第2小法廷判決を否定するものではなく、その延長線上にある。実際、平成21年判決は「平成18年判決の言渡し日以前の被上告人の制限超過部分の支払については,期限の利益喪失特約下の支払であるため,支払の任意性の点で貸金業法43条1項の適用要件を欠き,有効な利息債務の弁済とはみなされないことになるが,上告人がこれを受領しても,期限の利益喪失特約下の支払の受領というだけでは悪意の受益者とは認められないのであるから,制限超過部分の支払について,それ以外の同項の適用要件の充足の有無,充足しない適用要件がある場合は,その適用要件との関係で上告人が悪意の受益者であると推定されるか否か等について検討しなければ,上告人が悪意の受益者であるか否かの判断ができないものというべきである。」と判示しており、被告は17条、18条書面の交付のあったことを主張、証明する必要がある。