判断能力が欠けている時期に時効は進まない という新判例

2月14日第2小法廷で下記要旨の判決があった。
時効期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において,少なくとも,時効期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がされたときは,民法158条1項が類推適用される。
とのこと。
158条1項とは
時効の期間の満了前6箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
という条項。
法文では、「被後見人であること」すなわち「既に後見が開始していること」が要件となっている。そのため、この規定は「後見が開始しているが、たまたま、その時期後見人が欠けていた」というレアケースにしか適用がなかった。
しかし、今回の最高裁判決で、後見が開始していない場合にも、6か月以内に後見開始の申立をしておけば、同条項が類推適用されることになり、適用範囲がかなり広がることになったと言えるだろう。