死んだ子の年を数えるようなものですが

以下は、私が作り、2010年8月16日付で保存した準備書面の一文です。今日あった最高裁判決と同じ主張をしていたのですが、ヒラメ裁判官にはねられ続けていました。悔しいです。

1 文言解釈
(1)  乙第オ2号証17条決定の主文第1項に「当事者双方は、申立人が相手方から本日までに借り受けた金員について、申立人と相手方との間に債権、債務が存在しないことを相互に確認する。」とあるが、これは「申立人が相手方に貸金債権を有せず、相手方が申立人に対して借入債務を有しないこと」を確認したものに過ぎない。
すなわち、特定債務たる借入金債務について精算条項を定めたものであり、過払金について精算条項を定めたものではない。
(2)  このことは文言解釈からしても当然であるが、特定調停の制度趣旨からしても明らかである。そもそも,特定債務の調整の促進のための特定調停に関する法律(以下「特定調停法」という。)第1条によれば,同法律は「支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため,(略)特定調停の手続を定めることにより,このような債務者(特定債務者)が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的」としている。そのため,申立権者も借主に限られているし,そこで調整されるべきは,特定債務者の負っている金銭債務=貸金債務についてであり,過払金返還請求権を扱う制度ではない。
   特定調停の実際の運用においても、取引履歴が裁判所宛提出されても、当然には申立人に開示されず、申立人が閲覧謄写申請しない限り開示されない扱いになっている。また、制度趣旨上、借入金債務がゼロになれば、目的としては十分であるため、相手方が債務の免除を申し入れてきた場合、取引履歴については精査することなく、精算条項を定めて17条決定をなし、手続を終了させる。特定調停が特定債務者たる申立人を特定債務から解放することを目的にしているため、それで必要十分なのである。だからこそ、その際、過払金額を確定することなどしないのである。
民事調停法17条も「当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。」とあり、協議の対象にさえなっていない過払金について放棄を決めるということは「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度」を超えている。
特定調停法第1条の文言からして,また特定調停法の制度趣旨からして,同主文にいう「債権債務」は,貸付債権及び貸付債務のみを指すものと解することでしか,法の趣旨に妥当しない。