石がなくなったから石器時代が終わったわけではない 石油時代の行方

OPEC 過去最大の原油減産合意

石油輸出国機構OPEC)は17日の臨時総会で、日量220万バレルと過去最大幅の追加減産を実施することで合意した。OPEC加盟各国は、原油相場が今月に入り、一時1バレル=40ドル台と約4年ぶりの安値まで下落したことに危機感を強めており、相場反転に向け思い切った減産が必要との認識で一致した。来年1月1日付で実施する。
(yahooニュース08年12月18日6時58分配信)

原油価格の落ち込み止まらず

1バレル当たり各年の年初原油価格を見ると、03年28ドル、04年31ドル、05年38ドル、06年56ドル、07年60ドル、08年91ドルと上昇を続けていた。原油価格は08年に入ってから急騰、7月11日には1バレル147ドルを突破、過去最高を記録した。産油国は1バレル200ドルもありうると暴騰を煽っていた。しかし、これは実需からではなく、株価が低調な中、商品市場に投資資金が流れてきたための上昇だった。そのため、7月にリーマンショックがあると、石油価格は暴落。12月17日NY先物市場では40ドル台を切っている。
参考に↓
http://www.kakimi.co.jp/4kaku/4genyu.htm

産油国の財政を直撃

産油国は、1バレル50ドルを切ると、財政赤字に陥ることとなっている。しかし、現在なお石油在庫はだぶついているし、世界景気はさらなる悪化が予想される。今後も急速な価格の回復は見込めない。中東諸国は外貨準備も十分あり、ただちに政情に影響することはないだろうが、ベネズエラのように、石油収益を貧民層にばらまいて、国民の支持を得ているところは、原油価格の暴落は国内政治を不安定化させかねない。

石油価格はいくらが適正か

11月29日、サウジのヌアイミ石油相は、記者団に対し「75ドルは適正な価格だと思う」と語った。産油国サイドの数字なので割り引いて考える必要がある。しかし03年初から07年初までの価格の伸びを基に考えると、4年で32ドルだから、年8ドルの伸びがある。06年初の60ドルから約2年経っていることを考えると、72ドルくらいにはなる。しかしこの伸びは好況期を反映してのものだから、適正価格はここからさらに下がるかもしれない。
国際エネルギー機関(IEA)は11月12日、2008年版「世界エネルギー見通し」を発表し、そこでは2030年には原油1バレル200ドル突破との見通しが立てられている。これは原油の需要は毎年1%ずつ増えることが前提になっている。
しかし今回の原油の高騰で、世界で原油に頼ることの危険性が広く認識されることになった。おそらく今後は代替エネルギーの開発が急速に進展することになるだろう。オバマ代替エネルギー開発を産業の柱にしようとしているし、世界の継続的成長を考えれば代替エネルギーの開発は必然でもある。するとIEAの見通しも外れる可能性は十分ある。
70年代のサウジの石油相だったヤマニは次のように語っている。
石がなくなったから石器時代が終わったのではない。石油にも同じことが言えるかもしれない。

原油消費量の近年の増加

 2000年〜2007年にかけて世界の原油消費量がどのように増えたかを示すと次の通りとなる。()内は前年比を現している(英国石油メジャーBPのHP)。00年3558.7(1.2%)、01年3576.2(0.5%)、02年3611.3(1.0%)、03年3681.8(1.9%)、04年3823.7(3.9%)、05年3871.0(1.2%)、06年3910.9(1.0%)、07年3952.8(1.1%)
http://www.bp.com/liveassets/bp_internet/globalbp/globalbp_uk_english/reports_and_publications/statistical_energy_review_2008/STAGING/local_assets/downloads/pdf/statistical_review_of_world_energy_full_review_2008.pdf