石油価格高騰が一服

 石油価格が下落を続けている。ドバイ原油がバレル95.30ドル、北海ブレントはバレル96ドルまで落ちた。直近の高値を付けた3月から2割以上も下落し。理由の一つには、世界経済の減速があるが、もう一つがサウジの増産である。
 イラン情勢の雲行きが悪くなり、各国が備蓄に走り、供給不足となり、3月は原油価格が上昇した。しかし、サウジが現在、原油を日量1000バレルにまで増産したため、需給関係が緩んでいる。OPECは昨年12月原油の生産目標を日量3000万バレル以下に設定しているが、サウジの増産でオペック加盟国の生産量は日量3200万にまで急上昇している。
 サウジがオペックの生産目標を超えるような原油増産に走っている理由は二つある。一つ欧米との関係を有効に維持したいがためである。サウジ王家は米国の庇護下にあるようなものであり、米国の機嫌取りをしておかないと、シリアみたいになりかねない。もう一つの理由は「石がなくなったから石器時代が終わったわけではない。」というかつての石油相ヤマニが言っているセリフに現れている。原油が高くなりすぎると、他のエネルギーに変えようという動きが活発化するため、そうなれば各国に原油依存が弱まることになろう。