ベアリング価格カルテル発覚は 課徴金減免制度

 日本精工、NTN、不二越ジェイテクトといった、日本ベアリングメーカー大手4社が、価格カルテルを行っていた問題で、公正取引委員会は、独占禁止法違反容疑で日本精工NTN不二越の3社を刑事告発した。同日、東京地検特捜部が、3社及びその役員らを起訴した。
 ジェイテクトも価格カルテルを結んでいたが、1番最初に自主申告したため、告発されず、さらに課徴金減免制度(リーニエンシー)により課徴金も免れることになる。
 この課徴金減免制度は、06年の独禁法改正で採用された制度で、公取委が調査開始する前に、最初に自主申告した会社には課徴金を全額免除し、刑事告発も免除される。2番目に申告した会社は、刑事告発は免除されないが課徴金は半額免除されることになっている。3番目に申告した場合は課徴金が3割控除になる。調査開始後も、新情報を申告すれば、3割減にしてもらえるという。もっとも減免対象は最大5社となっている(立入検査後は最大3社)。先着順ということで、時間の前後を明確にするため、公取委は申告をファックスでしか受け付けていない。
 さらに米国には、アムネスティ・プラスという制度があるという。Aという製品で、X社がカルテルを司法省に申告したが、2番目だったため罰金が科されても、別のBという製品でカルテルを申告すれば、A製品の件でも罰金を減額されるという。このため芋づる式にトラストが発覚することがあるらしい。
 06年度には79件だった申告件数が10年度は131件、11年度は143件と増加している。自主申告せず、課徴金が免除されなかった企業に対して株主訴訟を起こされている例もあるという。
 本件では、取引先との今後の取引に大きな影響を生じる。今回の価格カルテルは自動車用のベアリングについて行われたもので、価格カルテルの被害者は自動車メーカー。自動車メーカーがどういう対応をするのか、損害賠償を請求することもありうるのか。