振り込め詐欺対策 偽造免許証摘発に携帯電話会社協力

新聞報道から

振り込め詐欺の被害額は過去4年間で1000億円を超え、被害者が自殺に追い込まれるなど、深刻な社会問題になっている。特に、偽造の運転免許証を使って同一名義で数十回線(電話番号)の契約をし、不特定多数に一斉に電話をかける手口が目立つという。このため、自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(座長・菅原一秀衆院議員)と携帯電話会社、警察庁で対策を検討し、新たに自主規制のルールを定めることで基本合意した。
合意によると、各携帯電話会社ごとに同一名義で所有できる回線数を5回線までに制限するほか、契約時に携帯電話会社側が必要と判断した場合、契約者の了解を得たうえで、電話で警察
に運転免許証の確認を依頼する。契約者が警察への照会を拒否した場合、契約は行わず、悪質と判断した場合は警察に通報する。
(読売新聞08年11月17日)
警察庁のサンプル調査によると、振り込め詐欺に使用された携帯電話の80%が運転免許証で本人確認が行われ、うち21%は偽造・変造された免許証だった。
東京新聞08年11月18日朝刊)

詐欺グループは闇職サイトで実行犯集め

詐欺グループは自分が捕まりたくないから、自分自身で偽造免許証を使って携帯電話を契約することはない。
だからこうしたグループは、闇職安、闇バイト、裏職安、裏バイトといった名前のサイトに「日給5万円、未成年は不可、やる気のある人歓迎、借金のある人大歓迎。」などという求人広告を出し、実行犯=汚れ役を集めている。
こうした広告にあるメールアドレスにメールすると、携帯に電話するので番号を伝えるようにとのメールが詐欺グループから送られてくる。電話番号をメールに書いて送ると、すぐにグループから電話があり、日にちを指定され「新宿駅東口に来てほしい。着いたら電話するように」などと言われる。当日指定場所に行き、電話すると、そこからさらに別の場所に移動するように言われ、ようやくグループの一人と会う。当然これはグループでも下っ端だ。この下っ端から、住所だとか、勤務先等を聞かれ、ここでようやく仕事の内容を知らされる。たいていの人はビビるが、こういった怪しげな人間に住所も電話も教えてしまっているため、実行しないとどうなるか分からないという恐怖から応じてしまうことが多い。そうして偽造免許証を渡され、携帯を作らされるのである。

偽造免許証で携帯電話を作った場合、何罪が成立するか

運転免許証を偽造した詐欺グループは有印公文書偽造罪を犯したことになる。闇サイトに募集したことで実行犯に仕立てられた人間は、この偽造免許証を使う点で偽造有印公文書行使罪にあたり、さらに携帯電話会社で免許証記載の人物になりきり携帯電話男取得することで詐欺罪が、その人物名で契約書等を書くため有印私文書偽造、同行使罪が成立することになる。

偽造免許証

日本テレビ報道特捜プロジェクトの08年8月19日放送で、取材班が犯人グループに接触した様子が放送された。
TVスタッフが闇職サイトの募集主に接触。サラリーマン風のスーツ姿の男だ。男は、すべて手作りだという一枚の免許証を差し出した。スタッフが本物の免許証と比較してみるとサイズ、厚み、そして手触りも何ら変わりはない。
氏名や生年月日などは架空で作られているが、住所だけは契約の審査を通すため、実在の住所を使っているが、その住所には免許証にある顔写真の人物は住んでいないという。
http://www.ntv.co.jp/tokuso/index.html

IC免許証も登場

警察庁では07年1月から偽造防止などを目的としたICチップ内蔵の免許証を開発、準備のできた都道府県から、順次交付が始まっている。まだ全国に広がっていないが、09年初めにはほとんどの都道府県に広がるようだ。ICチップには名前、本籍、生年月日、顔写真などの情報が記録されている。本人が登録した2種類の暗証番号を専用の確認装置に入力すれば、その情報が読み取れる仕組みになっている。確認装置は、運転免許センターの窓口と各警察署に設置される。
暗証番号が必要なのは、市販のICカード読取装置等を使えば、ICチップ内の個人情報を読み取ることが可能だからだ。
将来的には、金融機関等にも設置される可能性もある。

中には自分の免許証を変造して使用する猛者も

犯人の中には自分の免許証を変造して、犯罪行為に利用する人間もいるらしい。一度犯罪に利用した免許証は廃棄し、また新たに免許証を再交付してもらうことになる。運転免許証の番号の最後の数字を見てほしい。これがゼロになっているのが普通だが、再交付するとその都度、この最後の数字が1、2、3と大きくなっていく。
そのためこの数字が大きいと、金融機関では偽造を疑われることもあるようだ。

運転免許証偽造ソフト

運転免許証の偽造を判定するフリーソフトがあるようです。同ソフトの紹介文句は次の通り。
運転免許証の番号を検査し、偽造免許証をかどうか判定します。免許証発行都道府県、発行西暦年、および再発行回数の表示もします。
効果のほどは保障できませんので、悪しからず。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se356340.html