09年4月4日の新聞から
研究開発減税繰越3年に
現行税制でも研究開発投資費用の一定割合が減税となっており、その繰越期間は1年となっている。しかし09年、10年も不況脱出が危ぶまれれる中、1年繰り越されても意味がない。そのため政府の追加経済対策原案では繰り越しを3年程度に延長するという。
エコカー補助金 最大30万円
09年4月からハイブリッド車の自動車取得税と重量税が減免されているが、政府は、一定の排ガス基準を満たすガソリンないしディーゼル車を購入した場合補助金を給付することを検討している。軽自動車で10万円、他の車で20万円、13年以上の車を廃車してこれらのに車に買い換えた場合は30万円を支給するという。今回の補助金対象がハイブリッド車に限られなかったのは、ハイブリッド車の販売予定がない日産のことを顧慮したからではないか。
しかし実現は夏前だという。ちょっと待ってよ。そんなこと今の段階で発表したら、夏前まで買い控えするではないか。アナウンスの時機、内容が間違っていないだろうか。
羽田空港の滑走路延伸
政府の追加経済対策原案で、東京国際空港(羽田空港)の滑走路を300ないし400m延伸し、欧米便の就航を視野に機能強化することとされた。
首都圏の国際線は、成田国際空港(旧新東京国際空港)の4000mの滑走路1本しかない状態が24年間続いている。成田空港は当初3本の滑走路の建設が予定されていたが、いわゆる成田闘争により、計画は頓挫したままだったのだ。成田空港への新規乗り入れ待ちの航空会社は後を絶たないが、成田にはそれらを受け入れるだけの余裕がない。成田空港のB滑走路(平行滑走路)は土地買収が進まず、計画の2500 mより短い2180 mの暫定滑走路のまま、02年に暫定滑走路としてオープンさせたが、ジャンボ機が発着できない。また騒音問題で深夜、夜間の発着ができない。
このため、07年5月に策定されたアジア・ゲートウェイ構想の中で、羽田空港の国際空港化推進が図られた。すなわち、深夜早朝の欧米便を含む国際チャーター便の発着、20:30-23:00 の出発、6:00-8:30 の到着の時間帯を国際チャーター便のために供与、といったことの協議が開始されたのである。このため羽田沖に人工島を造成し、既存のB滑走路とほぼ平行に近い形で2500mの新滑走路=D滑走路の建設が進んでいる。そしてこのほかに、既存のC滑走路(3000m)を沖合に延長しようというのである。
今までなぜこのような方策を取らなかったかというと、かつては沖合を埋め立てた滑走路を造るだけの技術がなく成田空港を作ったのだが、成田闘争、騒音対策問題と、千葉県に無理を聞いてきてもらったことへの遠慮からだ。今まで無理を聞いてもらった千葉への手前、成田空港の地位低下につながるようなことはできないと言ったところだ。しかし、飽和状態が進み、他国にハブ空港の地位を奪われかねないという危機感から東京国際空港(羽田空港)の国際化が言われてきている。
(10.1.10追加)羽田の新滑走路は10年10月から利用が始まる。これにより年間発着枠が30.3万回から40.7万回にと、段階的に10.4万回増える。10.4万回の振分けだが、1月5日国交省は、第1回増枠分2.7万回を国内線枠に充てた。一日でいうと37便だが、全日空が11.5便、日航が7.5便、スカイマーク等新興組に17便、保留1便となった。前原湖国交省は今後10.44万回のうち半数を国際便に充てるとしてしており、成田空港との棲み分けが問題になる。
メガバンク3行 赤字転落
みずほフィナンシャルグループ(FG)と三井住友FGは3日、それぞれ昨年取得した米メリルリンチと英バークレイズの株式を2009年3月期に減損処理する方針を固めた。金融危機の深刻化で米欧金融株が急落した。前期決算の業績下押し要因になり、三菱UFJFGを含む3メガバンクは最終赤字に転落する公算が大きい(日経ネット)。
三菱東京UFJ銀行はJPモルガンに救済的な出資を行ったが、今回の赤字には関係ない。同行は当初JPモルガンの普通株30億ドルと優先株60億ドルを引き受けるつもりだったが、その後転換型優先株78億ドル、償還型優先株12億ドルとし、配当利回りは両優先株とも10%とした。転換型優先株の転換価格は当初の1株31.25ドルから25.25ドルに引き下げた。三菱UFJは25.25ドル以上の株価でいつでも普通株に転換する権利を持つ。転換型優先株は株価への耐性が高く、株価が数ドルに下がっても減損しないのである。
農水省インフルエンザ大流行に向け食糧備蓄ガイド
新型インフルエンザの大流行の危機が騒がれて久しい。スペイン風邪と言われた新型インフルエンザが19188年から1919にかけて流行ったが、全世界で人口の25〜30%が罹患、4000万人が死亡した。日本では2300万人が感染し、39万人が死亡した。スペイン風邪は、約11か月で世界中にまん延した。
農林水産省は3日、新型インフルエンザが大流行(パンデミック)した場合に備えた食料備蓄の家庭用のガイドを作成したと発表した。2週間程度、外出しないことを想定し、コメを中心に食料確保に困らない備蓄例を示し月内に農水省のホームページで公開するという。ガイドでは夫婦と子供2人の4人家族の2週間の備蓄モデルを示し、コメは少なくとも10キログラム、魚介や野菜といった缶詰は50缶必要としている。
人口移動の激しい現代社会では、世界のどこで発生しても、より短期間にまん延すると考えられる。いざ大流行が起こってから買い集めようとしても手遅れになる。自分の命を守るのは自分しかない。
※追加:農水省の備蓄ガイドは↓当然のことコメの備蓄を推奨
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/gaido.pdf
高齢者医療見直し与党PT基本方針まとまる
与党の高齢者医療制度見直しPTは3日基本方針をまとめた。基本方針では低所得の高齢者の保険料や自己負担の軽減策を盛り込んでいる。
しかし、他にも大きな問題がある。低所得の高齢者で健康保険料の滞納で保険料を取り上げられた人たちの存在だ。こうした人たちは窓口では全額負担となる。保険負担分の支給は未納保険料に充てられる。元々貧窮し保険料を払えなかった人たちだ。全額負担を求められれば、病院に行くなと言われたのと同じだ。高齢者からは保険証を取り上げないようにできないものか。未納保険料についても減額の制度とか、分納制度とか設けられないものか。それでも払えない高齢者がいるとすれば、それは政府のセーフティーネット自体が機能していないことになる。
それからもう一つ問題がある。与党は高齢者医療制度の抜本改革をするが、衆院選マニフェストには「改革を検討する」という抽象的表現にとどめ、具体的内容には踏み込まないとしていることだ。自民党幹部は「改革論議は政権を維持した後に初めてできる話だ」というが、それを言ったらマニフェストを出すこと自体無意味になる。
G20効果で新興国通貨が急伸
GW中韓国に旅行を予定している人にはあまりいいニュースではないかも知れない。韓国ウォンがここ一か月で対円で20%上昇している。政情が日本以上に安定しないタイのバーツはまだ5%そこそこだが、GW時期にはさらに上がっている可能性も否定できない。
ブラジルレアル、南アフリカランドなどの新興国通貨の対円レートも15%ほど急騰しているが、これは円キャリートレードの復活とも言われている。金利の低い円で借りて、円を売って新興国通貨を買って貯金する。このため円が売られている。さらには日本が欧米以上に経済が落ち込んでいることもあるし、政治も理由の一つかもしれない。米マスコミで日本は「バナナ・リパブリック(南の経済途上国の比喩)」扱いされている。それ並の政治能力しかないということだ。
米経済統計をどう読むか
米労働省が3日発表した3月の雇用統計は、失業率が8.5%に上昇し、1983年以来の高水準を記録。非農業部門雇用者数は66万3000人減少したほか、平均週間労働時間は過去最低となった。
しかし米国版短観の製造業景況感指数も3月は36.3で前月より0.5ポイント増。耐久財受注額も2月に予想に反して前月比3.4%増と8か月ぶりに上昇に転じた。
失業率は景気変動に遅れて数字が上下するという遅行的性格があり、製造業景況指数、耐久財受注額は景気変動に先行して上下する先行的性格があり、先行指標とも呼ばれる。この点だけを見ると、足もとの景気は悪いが、すでに景気が底入れに近い=景気は今が底で、今後は上がっていくとの観測を生んでいる。
しかし耐久財受注額の上昇が上向いたと言っても、1ヶ月だけでは判断は難しいし、また伸びても前年度を下回るレベルで終われば需給ギャップが大きいままで、景気の回復とまでは行かない。もう少し様子を見ないと分からないが、春の訪れとともに多少はいいニュースが聞けた感じがする。
債券市場
債券市場は長期金利が上昇、新発10年物国債利回りは1.42%と前日より0.05%上がり、3ヵ月半ぶりに1.4%台に乗せた(国債利回りは0.05%単位のため1ポイントアップといったところだが)。これについて、日経は「リスクをとる投資家が増え、安全資産である国債への需要が落ちた」と評している。
しかし次々と繰り出される景気対策で、国債増発のマグマがたまっていることの影響はないのだろうか。
振り込め詐欺過去最低
3月に東京都内で認知された振り込め詐欺事件の被害件数は74件(総額約9500万円)で、統計を取り始めた05年1月以降で最少だった2月の89件(同1億4000万円)をさらに下回ったことが3日、警視庁のまとめで分かった。
74件のうち、おれおれ詐欺が27件で、前月の44件から減少。架空請求詐欺は21件(前月15件)、融資保証金詐欺19件(同11件)、還付金詐欺1件(同2件)、未遂6件(同17件)だった。定額給付金詐欺らしい不審電話があったとの届け出が3日までに8件あった。
興味深いのは千葉県警の発表。同県警も3日、3月の被害件数は21件と過去最低となったが、全体の約4割は犯人が現金を受け取りに訪れる手口だったという。
かつて、この事案は、文字通り被害者に銀行口座に振込ませることが多かった。しかし第三者名義での銀行預金口座を作ることが難しくなり、銀行でもATMの機会のところに振り込め詐欺に対する警告文を貼ったり、犯罪用の口座が凍結されたりと、犯罪防止の仕組みが整備されてきた。犯人が振り込みでなく、現金を受け取りに訪れるようになったのはこうした事情からだ。こうした受取役は、怪しんだ被害者の通報で警察官が待ち合わせ場所に待機し、逮捕されることも多くなった。もっともこうした受取役は、闇サイトで募集された人間が多く、そこから犯人グループにさかのぼっていくのは難しい。