新旧レイク主張対策 その3 資産譲渡契約の翻訳は果たして正確か

 新生フィナンシャルは、契約書と一緒に和訳文を出してくるため、この和訳分も本件文書作成当時一緒に作られたものと錯覚しがちである。しかしこれは、本訴訟に際し新生フィナンシャルの弁護士(オメルべニーの弁護士)が作成したものであるから、その翻訳の正確さがは疑ってみる必要がある。

 実際、翻訳が正しくないのではと疑われる個所も存在する。
 実際,資産譲渡契約第11.3条の原文は「11.3 No Assumption of Liability. None of Newco and its affiliates shall assume (and Lake shall indemnify and hold each GE indemnitee harmless from and against) (a)any losses of Lake (including claims against Lake)  (b) any loses of Newco or L-net arising from Lake`s failure (excluding Lake`s failure to provide a customer with a receipt against such customer`s payment to Lake by bank transfer) to comply with laws, ordinances regulations or administrative guidance (including the requirement under the MLB Law necessary for Lake and Newco to validly retain the payments of interests or default interests by its customers, the amount of which exceeds the under the Interests Restriction Law) (c) any losses of・・・」となっている。
 被告は「No Assumption of Liability」を「債務の非承継」と訳しているが,実際は「責任の非承継」と解すべきである。このことは本文をみれば明らかである。
本文では「新会社はその関連会社は,以下のものを引き受けない。」
とあり,以下のものは何れも「loses=損失」となっているからである。損失についての責任を規定したものと言うべきだろう。
「(b)レイクが法律,条令,規則,行政指導(利息制限法の定める制限額を超える金額ついて…利息の支払いを有効に受けるための貸金業法上の要件を含む)を順守しなかったことから新会社…に生ずる損失」」についても,「loses(損失)」についても,過払金の責任を承継しないという意味に解すべきではないかと考えられるのである。
 この規定は「新レイクが旧レイクの過払金債務を承継するからこそ負担せざるを得なくなった損失について,旧レイクは新レイクに補償する」という,新レイクと旧レイクとの間の内部求償のことを規定した条文ではないかと考えられるのである。
 そもそも「Assumption of Liability」は大文字で始まっているため,定義規定が置いてあるはずであり(文中大文字で始める語は特定の意味が持たされ、契約の冒頭に定義規定が置かれるのが英文契約のルールである。),その定義規定が明らかにされないこと自体,不自然である。このこと自体,翻訳全体が意図的に被告に有利に書き換えられているのではないかと思われる。よくある文例としては「本契約に別段の定めのない限り,本契約で使用される大文字で始まる各用語の意味は本契約書に添付する別表「定義語」に定義されるものとする」として,別表で定義が示されている。本契約でも同様の規定の仕方がなされている筈である。

 同契約の別紙1.1(m)には「その他売掛金」とあるが,英文では「Other Accounts Receivables」となっているが,業種により売掛金の内容はさまざまである。したがって,この「その他売掛金」の中に,いかなるものが含まれるかを知るには「Other Accounts Receivables」「Accounts Receivables」の一方ないし両方の定義規定が明らかにならなければならない。また,訴訟全体から,取引の外観を掴まないとこの語の正確な意義は判明しないであろう。

 このように被告の翻訳は信用できない。契約全文が明らかになれば、過払金請求者側に有利な証拠があるのではとも疑われる。少なくとも定義規定と、契約の枠組みを明らかにする規定は、ただちに開示するよう請求すべきであろう。


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