のぞき見注意 塀に上っただけで建造物侵入になりますよ

一審は無罪

 大阪市内の29歳の男性。07年1月、捜査車両の車種やナンバーを調べるため、大阪府警八尾警察の高さ2.4mの塀によじ登った。第1審の大阪地裁は、建造物侵入罪について無罪とした。判決理由を推測するに、男の動機からして、塀の中に入ることまでは考えていなかったため、そもそも建造物侵入罪に当たらないとしたのであろう。塀の中に実際入ってしまったら建造物侵入罪になるのは当たり前だし、塀の中に入ろうとしたが途中であきらめたということであれば建造物侵入罪の未遂罪になるからだ。

二審、最高裁は有罪

 判決日は不明だが、第2審の大阪高裁、上告審の最高裁第1小法廷も、男性を建造物侵入罪について有罪とした。
 「塀の高さが2.4mもあり、外から内部が覗けない造りであり、所の出入り口に関係者以外の立ち入りを禁じる掲示があることなどを指摘し、塀は外部からの干渉を排除する役割を果たしており、「建造物」の一部を構成する。」とした(7月16日付日経朝刊)。

のぞき見

 とすると、塀によじ登ってのぞき見する出歯亀(でばがめ)行為も、建造物侵入罪と言うことになる。普通の家には、関係者以外立ち入り禁止との掲示はないだろうが、住居なのだから、当然出入りが禁止なのは分かっている。ただ塀の穴(いまどきそんな塀はないだろうが)からのぞき見るということだと建造物侵入罪にならないのではないか。