五輪マスコットのネーミング

東京五輪のマスコットのデザインはかなり浸透してきましたが、ネーミングは、イマイチ浸透していません。ネーミング自体がイマイチだから、当然と言えば当然と言えるかもしれません。しかし、これも商標戦略という大人の事情ゆえのネーミングと推察されます。

五輪マスコットは、さまざまな企業スポンサーが使用します。
そうすると、あらゆる業種で商標がかぶらないようにするためには、つけることができるネーミングはかなり限られてしまいます。そのため、このようなキテレツなネーミングしかつけられないという現実があります。

ただ、対処方法がない訳ではありません。普通名詞、地名等をつけるやり方です。ロンドンオリンピックのキャラクターはウェンロックでした。ウェンロックはイギリスの町名で、クーベルタン男爵が同地にいたときにオリンピックの着想を得たとされ、この名前になったというのですが、かなり、苦しいこじつけです。

北京オリンピックは、貝貝(ベイベイ)、晶晶(ジンジン)といった
通名詞に近いものになりました。

では、日本ではなんでこうならなかったのか?
「普通名詞だと、似たような名前のキャラクターが現れ、五輪のキャラクターが侵害されるから」でしょうか?
だとすると、国民目線よりスポンサー目線を優先した結果と言えそうです。
シンボルマークを決めた時と同じ構図ですね。

私としては、今回の五輪マスコット名は、普通名詞か固有名詞にするべきだったと思っています。

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2018/07/23/kiji/20180722s00042000411000c.html

甲陽軍鑑の信ぴょう性〜信玄は実際に天下統一を考えていた

以下は、歴史秘話ヒストリアの放送内容が元ネタです。
甲陽軍鑑。この書は読み書きのできない高坂弾正が口述したものをその甥が書き留めたとの体裁がとられていますが、江戸期の軍学者小幡景憲が自らの甲州軍学を宣伝するために作った偽書と長年扱われていました。
しかし、国語学者酒井憲二氏の研究の結果、戦国時代末期の作と判明したそうです。酒井氏は、長年の文献探索の結果、現在最古と考えられる写本を見つけ、その写本にある語彙を研究した結果、日葡辞書の語とほとんど一致していたそうです。甲陽軍鑑は、年代等に誤りが多く、話も謙信と信玄の一騎打ちのようにドラマチックに過ぎ、信用性に疑問を持たれてきました。ただ、この書は、長篠合戦以後、高坂弾正が昔語りしたものを筆記したものです。あくまで高坂の記憶を基にしているため、年代がずれているのは仕方ないことです。実際古い時期になればなるほど年代の時期の間違いが多くなるのは、記憶に基づく口述なれば仕方ないことでしょう。むしろさすが高坂弾正と、その記憶の良さを褒めるべきでしょう。また内容がドラマチックに過ぎるのも、口述によるものだからどうしてもそうなるのでしょう。
この甲陽軍鑑には、末書というものがあり、いわば補遺的なものですが、ここに信玄が天下統一を考えていたことを示唆する記述があるそうです。信玄は、部下に全国の住人から山その他地形の状況、城の状況を聞き取らせ、それを地図にまとめていたというのですが、それが中国、四国、東北に及んでおり、天下統一を目指していたからこそこのようなものを作ったというのです。

ゴーン事件があぶりだす日本の刑事司法の後進性

フランスのメディアでは、保釈されることなく23日間拘留される日本の司法制度自体に批判の目が向いています。
元々日本の捜査面の司法制度については、代用監獄、無制限の取調時間、拘留日数、弁護士の立会権の不在の長さ等について、国際的に避難の目が向けられてきました。

5年前国連の拷問禁止委員会で日本政府報告書審査が開かれた際、日本の捜査制度に避難が集中。日本の政府委員のお役所答弁がさらに非難を増幅する中、ある委員からは「日本の長期勾留刑事司法のは中世的と批判され、人権人道大使(こんな役職があるんですね)が「日本は世界一の人権先進国だ」と開き直り(さすがに「人権先進国の一つだ」に訂正)、失笑が漏れると"shut up!"と感情的に怒鳴りつけ、更なる失笑を浴びたということがありました。日本は人権先進国と名乗っていますが、それは30年前くらいの話で、少なくとも司法制度は周回遅れというのが私の感覚です。

日本の勾留制度について、海外の専門家からの批判はあっても、世界的な関心を集めることは殆どありませんでした。そのため、検察庁の上位官庁たる法務省としても、国際的非難あっても無視することができました。しかし、今回は、世界的著名人の勾留のため、世界の注目が集まっている上、フランスとの外交問題にも発展しかねない様相となっています。
これが、日本人なら、金商法違反に加えて、脱税で再逮捕、特別背任で再逮捕と拘留をどんどん長期するところですが、ゴーンが相手だとそうもいかないでしょう。

https://www.huffingtonpost.jp/2018/11/28/japans-criminal-justice-system-criticized_a_23604007/

米国社会の分断

トランプ大統領誕生直前のアンケート調査結果に次のようなものがある。
米国人の6人に1人が「軍による統治」を良い考えと思っており、1995年の16人に1人から大幅に増えた。
30年代生まれの米国人の7割以上が民主主義を不可欠と考えいているのに対し、80年代生まれの米国人でこれに同意するのは3割だけ。政治=民主主義に対する不信が、来るところまで来た感がある。

他方、最近別のアンケートでは、米国人の半分以上が社会主義者を支持するというものだ。社会主義者を自称するサンダースが前回の大統領予備選で善戦したのも、こうした社会の空気の変化があるからだ。

一方に軍政を支持する右派がいて、他方に社会主義を良しとする左派がいる。米国社会の分断もここまで来たかという感がある。

武士の起源

以前は、武士は独立農民が武装化したものと言われていましたが、最近は軍官としての軍事貴族が土着したのが武士という説が強力になっているようです。武士というのは、国家から武力の行使を認められた存在と解すると(やくざが拳銃をもっていても警察官ではないのと同様に)、地方豪族は国家から認定された軍事貴族の指揮下にあって初めて国家が認めた存在になるのですから、貴族起源説の方がしっくりきます。藤原道長も、有職故実を扱っているだけではなく、弓の名手でした。

銀行の過剰融資問題

一時期銀行のフリーローンの過剰融資が問題になっていましたが、最近は随分沈静化したようです。
というのも、平成29 年3月16日付で、全国銀行協会が「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」というものを発表したことが契機になっているようです。
そもそも、なぜ、銀行の個人への過剰融資がこれまで広がってきたのか。理由は二つあります。一つは、昨今の低金利政策です。銀行の本来の役割は個人融資より、企業融資にあります。しかし、企業への融資は手間がかかります。企業の決算書を精査し、現地を視察し、事業計画の実現性を判断しなければなりません。しかし、それでも金利は数%。労多くして益少なしといったところです。
もう一つはライバル消費者金融が貸付の総量規制です。貸金業法では法改正により、このため消費者金融は過剰融資問題がほぼ解消に向かっていますが、銀行は、貸金業法の規制を受けないことから、返済能力を超える貸付けを平気で行えるのです。
今回全国銀行協会は、3月16日、多重債務発生防止のための申し合わせ事項を公表しました。重要な点を抜粋します。
1 年収証明書や自ら保有するお客さまの情報等によって、お客さまの収入状況や返済能力をより正確に把握することに努める。例えば、改正貸金業法上、自社で50万円超または他社借入を含めた総額で100万円超の貸出審査には年収証明書が必要とされていることにも留意する。
2 審査の適切性について信用保証会社と深度あるコミュニケーションに努める。例えば個人の年収に対する借入額の比率を1/3以内に制限する総量規制の効果として、多重債務の発生が一定程度に抑制されている状況等を踏まえ、銀行カードローンにおいても、個人の年収に対する借入額の比率を意識した代弁率のコントロール等を行うべく信用保証会社と審査方針等を協議するよう努める。
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news290336.pdf

賃貸建物の欠陥で賃借人が損害を受けた場合の法律構成

賃貸人は、賃貸建物を使用・収益に適する状態において賃借人に使用・収益させる義務を負っているため、同義務の違反があったとして損害賠償を求めることが可能です(債務不履行構成)。しかし、民法第717 条1 項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」とあり、この条文に基づいて家主に損害賠償を求めることも可能です(不法行為構成)。
民法717条は無過失責任ですので、債務不履行構成より不法行為構成で請求する方が得です。
なお民法717条は一時的に占有者が、二次的に所有者が責任を負うとされ、賃借人は「占有者」ではないかという指摘をされることがありますが、ここでいう「占有者」は「瑕疵ある場合、独自の権限に基づきその瑕疵を修補しうる又は修補すべき地位にある者」を指すとされ、賃借人は「占有者」には当たりません。
賃貸人=所有者であれば、賃貸人が占有者兼所有者ということになり、賃貸人が絶対的責任を負うことになります。