銀行の過剰融資問題

一時期銀行のフリーローンの過剰融資が問題になっていましたが、最近は随分沈静化したようです。
というのも、平成29 年3月16日付で、全国銀行協会が「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」というものを発表したことが契機になっているようです。
そもそも、なぜ、銀行の個人への過剰融資がこれまで広がってきたのか。理由は二つあります。一つは、昨今の低金利政策です。銀行の本来の役割は個人融資より、企業融資にあります。しかし、企業への融資は手間がかかります。企業の決算書を精査し、現地を視察し、事業計画の実現性を判断しなければなりません。しかし、それでも金利は数%。労多くして益少なしといったところです。
もう一つはライバル消費者金融が貸付の総量規制です。貸金業法では法改正により、このため消費者金融は過剰融資問題がほぼ解消に向かっていますが、銀行は、貸金業法の規制を受けないことから、返済能力を超える貸付けを平気で行えるのです。
今回全国銀行協会は、3月16日、多重債務発生防止のための申し合わせ事項を公表しました。重要な点を抜粋します。
1 年収証明書や自ら保有するお客さまの情報等によって、お客さまの収入状況や返済能力をより正確に把握することに努める。例えば、改正貸金業法上、自社で50万円超または他社借入を含めた総額で100万円超の貸出審査には年収証明書が必要とされていることにも留意する。
2 審査の適切性について信用保証会社と深度あるコミュニケーションに努める。例えば個人の年収に対する借入額の比率を1/3以内に制限する総量規制の効果として、多重債務の発生が一定程度に抑制されている状況等を踏まえ、銀行カードローンにおいても、個人の年収に対する借入額の比率を意識した代弁率のコントロール等を行うべく信用保証会社と審査方針等を協議するよう努める。
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news290336.pdf