米小売好調は信用していいのか

 米国の主要小売チェーンの3月27日までの週間売上は前年同期比の3.2%増、2月後半から6週連続で増加し、3月に入ってからは3%台の伸びを続けている。また新車販売台数も3月は前年同月比24.3%増の106万台。衣料が特に好調で、外食産業にも客足が戻ってきている。しかし所得は2月は前年同月比と変わらない。所得は伸びないのに消費が伸びているのだ。4月6日付日経は「米背伸び型の消費」との見出しを打っていたが、まさにその通りだ。
 確かに家計の負債は09年初めて前年比マイナスとなった。しかしFRBが家計資産統計をつけて以来、減少になったのは初めてというのであるから、家計の負債はかなり膨らんでいると言って良いだろう。
 60年代から80年代半ばまで家計部門の可処分所得に対する借入比率は55%から65%の間で推移していた。しかし、その後、同比率は上昇を続け、07年には過去最高の133%にまで達している。債務比率は80年代の倍、異常ともいえる。その後、金融危機と不況によって家計部門は借入を返済し始め、09年時点では130%程度にまで低下し、家計のバランスシートがやや改善されたとは言えなくもないが。ただ家計が健全化しているとまでは全く言えず、現在の失業率を見ると、まだまだは消費を減らして家計の改善に努めるべきだろうから、長期的には消費抑制に働くことになるだろう。。