韓国企業の業績二極化

外需企業と内需企業で大きな差

 韓国はサムソン、LG電子、LG化学、現代自動車等の躍進が報じられているが、その一方で内需企業は業績を落としている。運送・流通、倉庫業はそれぞれの売上高は、前年比11.8%、3.0%のマイナス。製鉄大手のポスコも国内売上比率が高いため、前年比12%の減収となっている。

韓国の失業率

 韓国統計庁の発表では、失業率は3.6%に過ぎないが、実質失業人口に含まれる、就職準備者52万9千人、就職断念者176万6千人、長時間勤務を希望する短時間労働者15万2千人が除かれている。統計庁がいう失業者は84万8千人だが、こうした実質的失業者を加えると、その4倍近い329万5千人にもなり、実質失業率は12.6%に達する。これは日本でも同様だが青年層の失業が深刻だ。統計庁の数字でさえ15〜29才の青年層の失業率は10%だ。韓国はアジア危機でIMFに支援を求めた際、IMFの要求で、整理解雇制が導入され、景気が悪くなると簡単に解雇されてしまう。

IMF融資が全てを変えた

 アジア通貨危機で、韓国は97年11月にIMFに緊急融資を要請、12月にIMFの提示する構造改革等の条件を受け入れた。IMFは融資条件として、徹底した自由化、構造改革を要求するのが常であり、韓国に対しても、労働法規の規制緩和を求めた。また緊縮財政が取られ、社会福祉も低下した。
 日本も小泉改革で、非正規労働者は08年の10−12月期には34.6%、韓国でもIMF改革以降、整理解雇制の導入と労働者派遣業の規制緩和などによって、非正規労働者の割合は上昇し続け08年3月には35.3%に達している。
 直近のデータでも、全労働者中、低賃金勤労者の割合は、韓国が25.6%でOECD国家で一番高く、以下米国(24.5%)、カナダ(22.0%)、英国(20.5%)の順となっている。対GDP社会保障費支出割合は、日本18.6%、米国15.9%に比べて、韓国は6.9%と一段と低く、OECD平均20.6%の3分の1という低水準だ。

海外プラント受注5.9倍

 韓国の知識経済省によると、10年1-3月に韓国企業が海外で獲得したプラントの受注総額は250億2100万ドルで、前年同期比5.9倍となった。韓国は大統領がトップセールスマンになって、海外受注を伸ばしているが、海外プラント受注を増やしても国内の雇用には関係ない。
 国栄え、民細る、なのではないか。韓国人は本当に幸せなのだろうか。韓国人が教育熱心なのも、自分の子供が負け組にならないようにと考えてのことなのである。