米不動産 政策のテコ入れはあるのか

米国、住宅優遇措置終了間際

 米国では、3月末でFRBによる住宅担保証券の買い入れが終了、4月末には8000ドルを限度に住宅価格の10%の住宅取得控除を認める住宅取得控除も終了する。こうした政府の支援措置がなくなっても自律的に不動産売買が活発化するような状況にあればいいが、そうではない。以下のような不安要素がある。

  1. 失業率が高止まったままでは、住宅需要はどうしても減退する。
  2. 米財政の赤字増大により、長期金利が上昇し、ローン利率が上がる。
  3. 住宅担保証券が、ピークの06年には9200億ドルあったのが、現在は3200億ドルに激減。現在住宅担保証券は、連邦住宅局(FHA)とか、ジニーメイなどの政府発行は、引き受け手がいるが、民間で引き受ける会社はない。
証券化商品

 米証券取引委員会は、不動産担保証券を発行する場合、発行者にも5%の不動産担保証券を売らずに手元に残すようにさせるという、規制案を提案した。販売する側に値下がりリスクを負わせれば、無茶なことをしないだろうと考えてのことだ。

オバマの住宅差押救済策

 3月26日、オバマ政権は住宅市場の低迷脱却を目指して、2年前に導入された住宅不動産競売対策を一段と強化し、総額140ドル(1兆3000億円)のテコ入れ策を明らかにした。
 FICO社の信用情報スコアが500点を超えており、かつ、支払い遅延がないことが条件になる。この基準を満たすと、FHAによる債務保証付きで借り換えローンを受けられる。その場合、115%までにローンが減額される。LTVがローン残金が担保価値を20%以上上回る世帯が推定1000万もある。第2順位抵当の貸し手は115%までローンを減額すれば、FHAから損失補填として、元本の減額1ドルにつき10-21セントの補助金を受け取ることが出来る。