工事進行基準で利益が帳簿上押し上げ

工事進行基準採用で利益押上効果

 今年の4月から工事進行基準が原則適用になっている。工事進行基準とは、大型長期工事の場合、会計区分ごとに、工事完成度合に応じた収益を計上する会計方法である。
 このため、企業によっては、この会計基準の変更によって、収益がかさ上げされたところもある。大和ハウス工業では、この基準変更により売上高が290億円増加、経常利益への影響は47.3%にも及ぶ。これは業績が向上したからの利益増加ではなく、将来の売り上げを前倒ししたことによるものなので、注意する必要がある。

税制改正にも反映

 なお、平成20年度税制改正でも、工事契約会計基準の改正に伴い、取扱いの変更が行われた。工事進行基準適用要件が、①工事期間2年以上が1年以上に、②請負対価50億円以上が10億円以上に、と緩和された。もう一つの「工事契約において請負対価の2分の1以上が目的物の引渡期日から1年経過日後に支払われる旨が定められていないこと」との適用要件は従前のものを引き継いでいる。
 進行度合いをどう表すかと言うと、原価で見ることになっている。例えば予想される工事全体での原価が100億円だとして、既に30億円使っているときは、100分の30完成したことになる。
 なお、税務上前記①、②要件が備わっていなくても、個別案件ごとに、工事進行を基準にとるか、引渡時を基準にとるかを、自由に決められることになっている。