鳩山さんの温暖化ガス政策に異議あり

90年比25%減

 鳩山さんが7日の記者会見で、20年までに日本の温暖化ガスを90年比で25%削減するという中期目標をぶちあげた。要旨はほかにも次の通りのものがある。

  • 世界の全主要国による公平かつ実効性ある国際枠組みを構築
  • 全主要国の参加による意欲的な目標の合意が日本の約束の前提
  • 意欲的に排出削減に努める途上国に先進国は資金、技術支援を実施する。
  • 途上国支援の具体策を鳩山イニシアチブとして、新内閣発足後ただちに検討
  • 22日の国連気候変動サミットに出席
90年比25%の数字の持つ意味

 麻生さんが約束した目標は90年比8%減だから(05年比で15%減)だから、とてつもない数字だ。ただこの25%の中身は明らかではない。麻生さんの8%は、他国からの排出枠の購入分を含まない真水としての数字だが、鳩山さんのいう25%が排出枠購入分を含むものかどうかが分からないからだ。国内だけで消化するとなると、大変な経済負担になるし、排出量取引も含めてのこととなると、海外ことに中国に多額の低炭素化投資を行わなければならず、最大のライバルに塩を送ることになりかねない。

排出量取引とは

 排出量取引は、京都議定書に定められたCO²削減手法の一つである。京都議定書によれば、各国ごとにCO²の排出量の枠(キャップ)が定められる。CO²を削減し、排出枠が余った場合、枠を超えて排出しているところに自分の余った排出枠を売却する(トレード)ことができる。このため、キャップアンドトレード(Cap & Trade)とも言い表されている。具体的にこうだ。A国は現在CO²を1000排出し、排出枠が600のため、400減らすべきところ、300しか減らせなかったとする。枠オーバー分は100。これを途上国B国に資金ないし技術援助をして、CO²を10減らせば、それを自国の削減枠に加えることができるので、枠オーバーは90になる。

国内で消化するのも大変

 こう説明すれば分かってもらえるだろうか。クラスに毎日5時間勉強して平均70点のA君と、毎日30分しか勉強しないため平均点20点のB君がいたとする。先生が二人に「次の学年末試験でテストの平均点数を20点上げること」という宿題を与えた。A君とB君のどちらのほうが大変か。まちがいなくA君のほうが大変だ。20点を40店にするのと、70点を90点にするほうがよほど大変だ。しかもA君は勉強時間を増やそうと思えば、睡眠時間を減らすしかない。他方B君は勉強時間を30分から1時間にすればいいかもしれないからだ。省エネ=低炭素化に懸命に努力していたA君が日本、いまだに石炭で発電し、大型自動車を乗り回しているB国がアメリカだ。