中国 米国債まだまだ買うぞ、と怪気炎

中国人民銀行総裁 米国債今後も購入を表明

 中国人民銀行の胡暁煉副総裁は23日の記者会見で、「信用リスクが比較的低い米国債への投資は外貨準備の重要な一部分であり、こうした投資は今後も続ける」と言明した。他方「我々は資産の価格変動に高い関心を持っている」とも述べ、米国債の価格下落に警戒感を示した。

中国外貨減少

 中国人民銀行は外貨準備高を四半期に1度しか公表せず、次の公表は4月までない。しかし中国紙の第一財経日報は消息筋の話として、1月末の外貨準備高が08年末より約300億ドル減り、1兆9000億ドル程度になったと報じた。
 胡副総裁は国家外貨管理局の局長も兼務しており、外貨準備高が減少し始めたとの見方に対して「中国では大規模な資本流出は起きていないが、ここ1―2年の大量の資本流入は減速している」と指摘。米国債購入の原資となる外貨準備高が既に頭打ちになっていることを認めた。(日経3月23日)

自分の頭の蠅を追え

 私の母の口癖が「自分の頭の蝿を追いなさい」だった。中国は現在経済成長率も8%を切り、失業者も急増しているという。よその国の国債を買うくらいなら、自分の国民を何とかしろという声も起こってくる。
 ただ中国は多額の米国債を抱えている。これが暴落したら国家の大損失だ。ちょうど地球の裏側ではガイトナーがガンガンドルをばらまくぞと言っている。米国債購入発言は米国にとって絶好のタイミングを計って言われたものではないか
 中国人民銀行総裁の発言は、日本に対するプレッシャーになりそうだ。米国からすれば、中国も買うんだから、同盟国の日本はもっと買えよ、ということになる。しかし日本だって米国債の先行きには不安を持っている。その点で日本にとってちょっと迷惑な話でもある。

米国債の抱える弱み

 米ドルの命運を握っているのが、外貨準備の豊富な中国、ロシア、中東産油国である。日本はどうせ逆らいはしないだろうが、これらの国とは政治的、経済的にも利害も対立しやすい。米政権は、ドルが弱くなると米国は盛んに「強いドル」を言うが、こうしたところの機嫌を取らないと「強いドル」は維持できないというのがドルの弱みである。
 ドルは基軸通貨としての地位をしばらくは失わないだろう。ドルは原油価格等資源価格と連動している。ドルが暴落すれば原油株等が高くなる。ロシア、中東産油国にとって、米国債を売却してドルが下がっても、原油価格が上がれば元はとれる。そういった計算はないのだろうか。

カーターボンド

 しかし長期国債の買入やら、官民投資プログラム(米版バッドバンク)やらと、米国の尋常ならざる財政出動は、ドルの下落を心配させるに十分なものがある。与党筋にも、米国債はこれ以上買えないという声もある。
 これに対する一つの施策がネット上で紹介されている。カーターボンドだ。カーター政権時代米国債を英ポンド建てで起債した。英ポンド建てでする限り、米ドルの下落を恐れる必要はない。これを現代に復活させようというのだ。