SFCG清算へ 大島会長の責任の有無が争点に

報道から

 民事再生手続中のSFCGが、破綻前に貸付債権を二重譲渡していた事実が発覚。東京地裁は、民事再生手続から破産手続に切り替える方向で検討しているという。
 SFCGはリーマンショック以降、資金繰りが悪化。09年2月23日に破綻する直前まで、中小事業者への貸付債権を譲渡し、資金調達を図っていた。一方、融資先の開拓に苦労していた日本振興銀行は、SFCGから3万5千件の債権を購入。関係者によると、総額は800億円程度とみられる。
 ところが、同行が買い取った債権に、別の複数の信託銀行に譲渡済みのものが含まれていることが、SFCG破綻後に発覚。民事再生申立をしたSFCG側の弁護士も寝耳に水だったようで、慌てて二重譲渡の規模や経緯などを調べているようだ。金融庁も事情聴取に乗り出したという。
 日本振興銀行は、そのHPで、SFCGが譲渡した債権をSFCG関連企業が譲渡後に取り立てを行っていたり、弁護士から過払い金請求を受けている債権もが正常債権として含まれていたとして、SFCGを非難している。
 こうした不正の発覚で、債権者から不満が相次ぎ、同法による再建が困難になったもようだ。
東京地裁は24日、民事再生の計画案を作る見込みがなくなったとして職権で手続きの取り消しを決め、保全管理人に瀬戸英雄弁護士を選んだ。瀬戸委員は従前は裁判所選任の監督委員で、単に調査権限しかなかったが、保全管理人となることで、SFCGの全財産の管理処分権限が与えられる。
 今後東京地裁によって、職権で破産開始決定が出される予定だが、その際瀬戸弁護士は破産管財人に横滑りすることとなる。
 24日記者会見した瀬戸弁護士は再生の見込みがないとする理由を(1)貸付債権の二重譲渡が約700億円分あった、(2)約39億円の税金滞納で預金口座などを差し押さえられた(3)貸金業登録を取り消される見通しになったとの三点を挙げた。
 この中でも一番の問題は二重譲渡だ。SFCGは事務上のミスと釈明しているようだが、瀬戸弁護士によれば二重譲渡された債権は、数万件に上る見込みといい、「意図的なら刑事処分の対象になる」と指摘している。(asahi.com2009年3月25日1時49分)09.3.25補充
日本振興銀行は、SFCGから譲り受け、現在も保有する債権は1024億7000万円と発表した。一部報道ではSFCGの債権約500億円がすでに信託銀行などに譲渡済みとされているが、振興銀行は現在までにその事実は確認できないとしている。また、債権の保全措置を取っているとして、二重譲渡があったとしても決算に与える影響は軽微だとしている。(24日ロイター) 09.3.25補充

民事再生には元々無理が

 民事再生は、現経営陣がそのまま現在の地位に残って、会社の継続を可能にする手続である。アエルのように清算的再生の手法もありうるし、オークスのようにスポンサーへの事業譲渡の橋渡し的再生の手法もあるが、いずれにしても、現経営陣への信頼関係が不可欠になってくる。しかしSFCGはリーマンショック以降余りに無茶をやり過ぎた。まだ正常返済中の債務者に、過去に一度でも延滞の事実があれば、それについて「担保価値が減少した」と言いがかりをつけ、一括回収を図った。
 また、それまで全くの無担保だった渋谷区松濤の大島会長の自宅不動産に、08年11月、親族企業からの100億円の借金の抵当権が突然設定されていたとの新聞報道もあった。
 大島会長は民事再生への道筋がついたら引退することをほのめかしていたが、現役員は超ワンマンの大島会長の腹心たち。大島会長の院政が敷かれてもおかしくない。こうした経営陣を信頼して、民事再生を行おうということが土台無理があったのではないか。

破産になるとどうなる。

 破産となれば、大島会長に資産隠しがなかったか、また後述のように違法配当の事実がなかったかが、徹底的に調査がされるはずである。そしてこうした事実があれば、大島会長も私財を提供しなければならなくなる。

日栄商工ファンド対策全国弁護団大島健伸社長を刑事告発

 24日付報道によると、23日、同弁護団はSFCGの大島健伸会長を、違法配当の容疑で東京地検に告発状を提出した、という。告発状によると、SFCGは昨年7月期決算で、貸倒引当金を過少に計上するなどして利益があるように装い、同年10月に18億3600万円を配当するなどしたと指摘している。
 違法配当罪という罪はないので特別背任罪のことだろう。会社法第960条は、取締役が「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定する。
 まだ告発状が提出されたにとどまり、実際立件されるかどうかは、今後の捜査いかんだが、仮に容疑が認められれば、配当した18億円を大島会長自ら賠償しなければならない。
 東京地検も小沢さんの件の半分、いや4分の1の力でもいいから、この件を真剣に捜査してほしい。