中国と犯罪人引き渡し条約、受刑者移送条約を締結して良いのか
中国との犯罪人引き渡し条約と受刑者移送条約年内締結目指す
中曽根弘文外相は2月28日、中国を訪れ、北京の釣魚台迎賓館で楊外相と約3時間会談。日中間で犯罪人引き渡し条約と受刑者移送条約の締結に向けて交渉を開始することで合意した。
犯罪人引き渡し条約は、相手国に逃亡した容疑者の自国への引き渡し手続きを、受刑者移送条約は相手国で服役中の受刑者を自国に移送するための手続きを定めるものだ。
日本側の目的
日本での外国人の検挙件数、受刑者数のそれぞれ4割を中国人が占めており、日本の刑務所の負担軽減に向け締結を求める声が強まっていた。要は厄介者の中国人を中国に送り返したいのだ。
しかし逆の場合もある。逃亡犯罪人引渡法2条9号によれば、「逃亡犯罪人が日本国民であるとき」は、逃亡犯罪人を引き渡してはならないとされる。しかし同条項には但し書があり、引渡条約に別段の定があるときは、この限りでない、とされている。引渡条約が締結されれば、日本人が中国で犯罪を犯せば中国に引き渡されることになる。同条1号、2号によれば、政治犯罪は引き渡されないので、一定の歯止めはある。しかし中国は「法はあっても法治がない」という国柄である。中国の最高裁判事が汚職で捕まるような国だ。無実の人間がとらわれる可能性は日本より高い。
とくに怖いのは、中国では労働法が強化され、労働者に賃金を払わないで夜逃げした者には刑罰が科されていることだ。日本の経営者がこうした罪で中国に引き渡される可能性もある。
また中国は死刑大国。日本では死刑にならない罪状でも、中国に引き渡されれば、死刑になりかねない。
中国と上記両条約を締結することには反対だ。