生粋のパンダ・ハガー スーザン・ライス

米国が再び航行の自由作戦。前回は島ではなく岩礁のスービ礁,ミスチーフ礁近くを航行しただけだったが,今回はトリトン島という中国が実効支配する「島」の12カイリ内を米海軍のイージス艦が航行した。
米太平洋軍ハリス司令官が27日の講演で,南シナ海での航行範囲の拡大を表明。当時,日本の新聞では,航行の自由作戦の再開をなかなか認めようとしないオバマへの不満の表れではという分析がされていたが,実際は,中国を刺激しないようにするための事前予告だったようだ(日経1月31日)。現実主義のオバマは,中国への警戒心を高めている米世論に気兼ねするとともに,来月のアセアン出席を控え米国の立場を明らかにする必要がある一方で,中国を怒らせたくないという本心もあり,その中でギリギリの選択をしたといえるだろう。
ところで,オバマのこうした親中姿勢を支えるのが,安全保障担当大統領補佐官スーザンライス。彼女がホワイトハウスの自室で定期的に懇談する人物が,かのへンリー・キッシンジャーニクソン政権時代に大統領補佐官として米中の国交正常化に道筋をつけた人物であり,今やレジェンドとされる人。
キッシンジャーは,日本の再軍国化を極度に警戒し,パートナーとすべきは日本ではなく,中国と考え,米国の外交を仕切ってきた人物だ。周恩来と会談した際,キッシンジャーは日本に米軍が駐留しているのは,日本を再軍国化させないため(瓶の蓋論)と語っている。
キッシンジャーに私淑するスーザン・ライスも,尖閣を巡る日中の緊張について「米国は主権の問題には立場を取らない」と表明したり,「アメリカも中国との新型大国関係を機能させることを目指す」と発言し,中国の目指すG2を認容するかのような発言をしてきた,生粋のパンダ・ハガー(パンダをハグする人=親中派)。こうしたオバマの消極的姿勢は中国に見透かされており,中国の南沙諸島の内海化は止まることはないだろう。