日本の一人当たりGDPはOECD20位に

12月25日に発表された11月の有効求人倍率は1.25倍と92年1月以来の高水準だった。
ただ,92年1月は非正規雇用が20.5%だったのに比べて,今年の11月は37.9%。労働力人口の構成比が変わったといっても,数%程度。正規雇用が非正規雇用に置き換わっている。11月の有効求人倍率も,パート労働者は1.61倍だが,正社員は0.79倍。そのため,求人倍率は増えても,所得は上がらない。実質賃金指数は92年1月に比べ88.2から80.2に落ちている。
ちなみに,昨年の1人当たりのGDPはOECD34カ国中20位。日本は3位だったが,円安が進む前から凋落を続けている。すぐうしろには,イタリア,スペイン,韓国が迫っている。アジアでは既にシンガポール,香港に抜かれている(15年12月26日付日経朝刊)。
もっとも中間層の没落は,世界的現象でもある。社会の公平の基盤の喪失,民主主義の危機にもつながりかねない。社会の階層対立が19世紀に近い様相になっていくこともありえない話ではないだろう。