杭内データ改ざん問題に思う

杭打ち工事のデータ改ざん問題で,国交省有識者委員会は25日中間報告をまとめ,「杭の到達は元請け業者が責任を負う」などの再発防止策をまとめたようだが,法改正はせず,ガイドラインを策定,業界の自主努力にゆだねるとのことになった。
今回のデータ改ざんは二つのパターンがあった。一つは,杭を打ったが支持層にまで到達しなかったが,工事の長期化を避けるためさも届いたが如くデータを改ざんしたもの,もう一つは,杭に対する地盤の抵抗値を示す電流計と,生コンの量を測る流量計のプリントアウトの印字が不鮮明だったり,用紙が濡れて破れたりしたため,新しく偽造したものだという。本当は前者であったものを後者のように言い繕っているかもしれず油断ならない。
なぜか議論になっていないが,紙データでしか残らないのが問題ではないか。無人でダンプが走る時代なのに,何たるローテク。人が改ざんできないように電子データで保管するようにすること,および,完工後10年間の保存の義務付け等で対処できないのだろうか。
また,マンションの青田売りから発する,工事期間のタイとさも問題だろう。この点,明治大学の中林一樹教授の「工事の規模によって標準工期のルールを設定する」というの傾聴に値する。
さらには,工事業者間における,全ての責任が下請けにまわってくることも大きな問題だ。下請けも元請けのミスで杭の不到達を生じても,それを言っても元請けが聞き入れないため,自らが不正をすることで,工事の瑕疵を塗糊してしまっているからだ。そうなると公取委の出番が求められることにもなる。