オリックス銀行相続信託新商品の長所,短所

オリックス銀行は、11月11日から、国内初となる通販型の遺言代用信託商品「かんたん相続信託」の取り扱いを開始しました。元本保証型のため,預けたお金が減ることはありません。また,遺言書を書くのではなく,同銀行と信託契約を締結し,自分が亡くなった場合の受取人を1人指定する仕組みです。銀行預金だと,相続人の1人が,葬儀費用や相続税の支払いのため,いざ預金を引き出そうと思っても,銀行から相続人全員から同意書(実印・印鑑証明が必要)をもらうことを求められるため,急場の資金が確保できません。しかし,信託の場合,受取人が,他の相続人の同意を得ることなく,単独で現金を受け取れます。
これまで同様の目的で,生命保険が利用されていました。被相続人が保険契約をし,保険金を支払い,自分が死んだ時の保険金の受取人を1人指定しておくやり方です。この場合も,受取人が申し出れば数日中に保険金がおります。支払われた保険金がみなし相続財産として相続税の課税対象となるところも共通しています。
ただ,生命保険と信託では大きな差があります。生命保険の保険金は相続財産とはならず,遺留分減殺の対象となりません(他の相続人から自分の最低相続分=遺留分を主張する手続)。そのため同銀行のHP上の商品説明でも「他の相続人の遺留分を侵害している場合には、受取人の方へお支払いができないことがあります。 相続人の方の遺留分等をご考慮いただき金額を決定ください。」との注意書きがなされています。
ただ,この商品は,通販で簡単に行えるうえ,中途解約も可能なため,そうした使い勝手の良さは大きな長所でしょう。
オリックス銀行ホームページ
http://www.orixbank.co.jp/topics/pdf/151109.pdf