中国の遠交近攻策

中国の訪米を中国外交の敗北ととらえる論評が多いが、同時期、中国は欧州で得点を稼いでいる。
習近平が10月20−23日に訪英し、総額620億ドルにおよぶ商談をがまとめあげた。政府間協定が13、商業協定が28、その他が18であり、中でも金融とエネルギー分野が突出している。
英国は、アジアインフラ投資銀行にも参加、欧州勢がこぞって参加する口火を切り、関ヶ原福島正則的な役割を演じ、多額のチャイナマネーを引き出すことに成功。そして、習近平をバッキンガム宮殿に泊らせるという特別待遇で応じ、他の欧州国家を出し抜いた。
中国外交の巧妙さは、原発工事の受注にも表れている。
中国広核集団が、フランス電力公社(EDF)が手がける英南西部のヒンクリー・ポイント原発プロジェクトに60億ポンドを出資。福島以降、業績が悪化した仏原発大手アレバから原子炉建設部門を買取ったのはEDF。中国はこの案件で、フランスにも恩を売ったことになる。
欧米は、中国の抗日戦勝70周年式典に参加しなかった不義理を詫びるかのように、各国首脳、元首が続々中国入りしている。中国のメルケルは10月29−30日に8度目の訪中を果たし、オランダのウィレム・アレキサンダー国王は25日-29日、フランスのオランド大統領は11月2日-3日に中国を公式訪問する。
まさに、遠くの相手と同盟を組み、近くの相手を攻める「遠交近攻」の策をとっている。