どこまで進む 原油安

サウジが生産調整を拒み、原油安が続いている。その目的の一つが、シェールオイルの生産拡大阻止にあったと言われるが、実際には逆効果のようだ。確かに米国内の石油掘削リグの稼働数は減少傾向にある。しかし3月27日付日経夕刊によると、生産性の低い油井が生産をやめているだけで、業界全体の生産性は上がり、却って原油安に対する耐性が強まったようだ。シェールガス原油安に対する耐性が強まった要因はほかにもある。一つは、掘削技術が日々進歩し、より低コストでの生産が可能になっていること。さらには、経営の悪化した生産者により掘削権の売却が進めば、掘削権を易く取得した生産者の財務体質がより強化されるということもあるのではないか。
では、原油安がこのまま続くかについては、ドル相場との関連もある。ドル価格と原油価格はシーソーの関係にあり、片方が上がれば、片方が下がる。一人勝ちだった米国経済がここのところ少し弱含んでいる。FRBの利上げも来年6月か9月にはある。さらに政治的要因。原油安は、ロシア、ベネズエラ、イランという米国にとって好ましくない国の財政を直撃している。イランの弱体化はサウジにとっても願ったりで、こうした面も原油安の根底にあるからだ。