スリランカ新大統領誕生の持つ意味

8日投票のあったスリランカ大統領選挙で、野党統一候補のシリセナ氏が、現職のラジャパクサを破って大統領になった。前大統領は中国との関係が深く、中国からの資金援助を受けて、自分の郷里のハンバントタに大型タンカーも停泊できる深水港を開港させ、自分の名前を冠したマッタラ・ラジャパクサ国際空港まで作ってしまった。
そしてこのハンバントタ港は、中国が仮想敵国のインドを包囲するように、港湾をめぐらせた「真珠の首飾り」の重要拠点にあたる。しかし、新大統領は中国との過度の接近をやめ、欧米日印との関係強化を大統領選で訴えており、中国の投資はどぶに金を捨てたどころか、敵に塩を送った形となった。新大統領は前政権で保健相を務めていたが、前大統領と対立するきっかけが、自分がタバコの有害性をタバコのパッケージに記載させようとしたのを、前大統領がタバコ業者と結託してつぶしにかかったからだ。清廉潔白が新大統領の持ち味で、中国の得意の利益供与戦術も通じそうにない。