脱法ハーブ 取締りの妙手は

脱法ハーブはハーブと名乗っているが、薬物を染み込ませた乾燥植物片であり、人工薬物である。分子構造を微妙に組み替えることで、指定薬物の潜脱を図っている。厚生労働省薬事法に基づき、以前は、個々の物質の成分分析で人体への作用を確認し、指定薬物に定め、製造販売や輸入を禁止してきた。しかし、基本構造が似た物質をまとめて規制する「包括指定」を昨年3月に導入。現在は1378種が指定されている。
政府の薬物乱用対策推進会議はきのう、関係閣僚による臨時会議で、ハーブを含む脱法ドラッグの規制見直しや取り締まりの徹底を確認した。
問題点は主に二つある。一つは包括指定でも取りこぼしのあること。先月下旬、東京・池袋での暴走事故。運転していた男は、ハーブ使用後すぐに意識がもうろうとし、その中で起こした事故だったが、このとき男が所持していた植物片の鑑定したところ、植物片に染み込ませてあった薬物は指定外のものであった。
もう一つは鑑定の問題。覚せい剤大麻は、簡易な鑑定用の試薬が開発されているが、脱法ハーブは、種類が多く、まだ簡易鑑定用の試薬が開発されていない。開発したとしてもいたちごっこは続くはずである。
こうした問題を解決するには、脱法ハーブ店の届出制等、売り手側の取り締まりだ。薬物を染み込ませた植物片を販売する業態自体を包括的に取り締まる法律が必要だ。もう一つは、利用者の意識改革。ハーブと名乗っているが、自然の成分がその薬効の元になっている訳ではない。実体は人工薬物だ。それを広く理解して貰う必要がある。現在政府は脱法ハーブの名称自体が誤解を生むとして、別の名前がないか募集している。「薬漬けハーブ」なんてどうだろう。