地銀、中小融資2割赤字 金融庁検査報告から見えるもの

金融庁は4日、検査結果を集計した2013年事務年度(13年7月〜14年6月)の年次報告書を公表した。報告書では地銀の中小企業融資の採算を点検。貸出金利から調達・信用コスト、経費率を引いた実質収支は13年3月期でみると106行のうち30行前後がマイナスだった。
2014/7/5 日経新聞

中小企業融資を活発化しろという、これまでの政府の方針からすると逆方向の報告と言っていいだろう。金融円滑化法も終了して1年以上たつ、景気回復の字も紙面に躍るようになった。
ここから見える今後の流れは、
もうリーマンは終わった
→まともな企業は立ち直っている
→ダメ企業がつぶれても自己責任
不良債権の先送りは企業のためにも金融機関のためにもならない、
ということかもしれない。
今リスケ中の中小企業は、事業改善の努力を今以上に進め、とにかく売上を伸ばすこと。今までのようにリスケをお願いすれば95%が通った時代は終わりを告げようとしている。金融機関とのコミュニケーションも密にして見捨てられないようにする必要がある。

もっとも、金融庁は、中小融資2割赤字を指摘してはいるが、「だから中小融資を絞れ」とは言っていない。その代わり「地銀の統合を進めろ」と言っている。でも言っていることは同じだ。「不良債権を処理するにも銀行の体力が必要。そのためにも統合が不可欠」ということだからだ。
しかし、地銀の統合は容易ではない。県内の銀行の統合は難しい。昔から狭い地域でお互いをライバルとして争ってきた同士に対して、金融庁は「さぁ明日から仲良く肩を組んでやりましょう。」と言っても聞ける話ではない。では県外の銀行の統合はどうか。これも難しい。各地銀の大株主は県内の有力企業。「うちの県民の預金が、隣の県の企業に融資されるのでは、県民の納得が得られない。」といった、声が聞こえてきそうだ。