酒気帯び運転即懲戒免職の可否

多くの自治体が、酒気帯び運転即懲戒免職という規定を設けている。「公務員が酒気帯び運転」と、マスコミに叩かれ易いのが理由だろう。ただ、単純に懲戒免職にしていいかについて、こんな判決が出た。

酒気帯び運転を理由に熊本県阿蘇市職員を懲戒免職となった40代の男性が、免職処分取り消しを求めた訴訟の判決で、熊本地裁は7月4日、「運転した距離は1キロに満たず、重すぎる」として処分を取り消した。
判決で中村心裁判長は「飲酒運転の動機や経緯に酌むべき事情はないが、市民や社会に直接被害はなかった。処分は事情を適切に考慮せずになされた。免職は裁量権を逸脱し、違法」と判断した。
判決によると、男性は阿蘇市波野支所市民係長だった2012年3月2日、市の退職者送別会で午後7時から9時ごろにかけて飲酒。その後、付近の温泉施設で入浴し、約1時間後に車を運転した際、検問中の警察官に酒気帯び運転を発見され、その後罰金刑を受けた。市は「市民の信頼を著しく失墜させる行為」として同年4月、懲戒免職にした。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140704/trl14070416380002-n1.htm

一般企業と自治体では懲戒に対する考え方に違いがある。自治体は地域住民の信頼があって初めて効率的かつ円滑な運営が可能になる。このため、微罪とはいえ、地域社会の信用を失墜する行為については厳しく対処するということも理解できないではない。ただ、自治体職員といえども労働者であり、労働者としての権利とのバランスが考慮される必要がある。
裁判の中でも、飲酒運転について日ごろ指導があったか、懲戒歴があったか、本人が自ら届出たか等の事情も検討されたはずであり、単純化はできないと思われるが、参考まで。