放射能汚染対策の意思も、能力もない東電は直ちに破たん処理を申し出よ

東京電力株が続伸中だ。3日付朝日新聞朝刊によると、東京電力福島第1原発の汚染水事故をめぐり、茂木敏充経済産業相は2日夜、BSフジのテレビ番組で、原発施設への地下水流入を防ぐ遮水壁の建設費用について、全額国が負担する考えを示した。これを材料視した買いが先行した。
同紙は、汚染水から放射性物質を取り除く装置(ALPS)の改良費用も国が持つ方針と報じている。政府関係者によると、遮水壁に320億円、ALPS改良に150億円を投じる。このうち今年度予算の予備費から計210億円を出して対策を前倒しするという。
全くもって噴飯ものだ。
東電は、福島の放射能汚染対策については、金をけちり続け、このような事態を引き起こした。今回行われる遮水壁にしても、自己直後の工程表にはすでにあった内容である。当時の工程表では原発敷地を遮蔽することで、外部から地下水が流入しないようにするはずだった。しかし東電が、予算不足を理由に四方に作るべき遮水壁を海岸との境だけの一面しか作らなかった。
原発敷地に流れ込む大量の地下水をダムを作って海への漏出を防ぐ程度の仕組みだ。いくら大きなダムだって、満水になるし、そうなれば放水する必要がある。今回の海水汚染は、汚染された地下水が防水壁を乗り越えて海に流れ込んだからだが、こんなことは最初からわかっていはず。
溶接タンクではなく、ボルトで留めただけのタンクで済ませたのも、節約のため。
故吉田所長は、本社にさまざまな対策を求めるも、本社からは予算を理由にけちられ、苦心していたという。
もう結論は出た。東電には放射能汚染対策をする意思もなければ、能力もなく、資格さえない。国が東電の代わりに巨額の予算を投じてもこれ以上の汚染拡大を防ぐべきだ。賠償問題もそう。東電の吝嗇ぶりは目に余る。これも国が前面に立つべきだ。
そうして国におんぶと抱っこになった東電は、自ら破たん処理の道を選ぶべきだろう。民主党から自民党に政権が代わっても、決められない体質は何も変わっていない。ここは下河辺さんが、勇断を振るって政府に自ら破たん処理を申し出るべきだ。