金融庁 平成26年度税制改正で企業再生税制を個人事業者にも適用するよう要望する方針

 金融庁は、個人事業者の再生を支援するため、企業再生税制を個人事業者にも広げるよう、平成26年税制改正で要望する、との記事が今日8月25日の日経朝刊にあった。
 金融庁のHPを見たが、まだ要望を政府税制調査会に提出したとの報道がないので、「その方針」ということだろう。今年のカレンダーからすると要望の提出時期は9月6日となろうか。
 企業再生税制とは平成17年税制改正で実現したもので、「民事再生法の法的整理に準じた一定の私的整理」において債務免除が行われた場合には、そのことによる新たな税負担を軽減しようという制度だ。
 「民事再生法の法的整理に準じた一定の私的整理」とされるためには次の要件が必要である。
1 一般に公表された債務処理を行うための手続きについての準則に従って再生計画が策定されていること。
2 公正な価額による資産評定が行われ、その資産評定に基づく実態貸借対照表が作成されていること。
3 上記の実態貸借対照表に基づく債務超過の状況等により債務免除等をする金額が定められていること。
4 2以上の金融機関が債務免除等をすることが定められていること(政府関係金融機関、地域経済活性化支援機構等、整理回収機構は単独放棄でも可)。

 私的整理ガイドライン、RCC(整理回収機構)、中小企業再生支援協議会、特定認証紛争解決手続(事業ADR)が定める準則は上記1の準則に該当することが確認されている。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/14a/01.htm
 また25年税制改正で、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間の時限措置ではあるが、「2以上の金融機関等が有する中小企業者に対する債権が、合理的な再生計画によって特定投資事業有限責任組合(企業再生ファンド)に譲渡された上で債務免除が行われた場合」も企業再生税制の対象になった。また、同税制改正で、評価損が1,000万円未満(有利子負債10億円未満の企業は100万円未満)の少額資産についても評価損の計上を認めるとの改正がなされている。

 日経の記事も漠としていて、いま一つ要領を得ないのだが、企業再生税制を個人事業にも全面的に広げるとなると、私的整理ガイドライン、RCC、中小企業再生支援協議会、事業ADR、企業再生ファンドによる事業再生において、2以上の金融機関から債務免除された場合は、次の特例が受けられることになる。
1 金融機関の債務免除も寄付に該当しない。
2 期限切れ欠損金を青色欠損金等に優先して控除できる
2 事業不動産の評価損を損金として債務免除益と相殺できる。