中国 輸出金額の水増し発覚

最近新聞各紙で、中国の輸出統計が水増しだったことが報じられている。ことが発覚したのは対香港貿易の数字から。香港側の中国からの輸入金額の数字と、中国側の香港への輸出金額の数字を大きく下回っていたからだ。
しかし、何も驚くことではないだろう。中国の李克強・副首相は、かつて遼寧省トップを務めていた時分に、米外交官に「私は政府が出しているGDPの数字などは信用していない。電力消費量 貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視している。」と発言したことをウィキリークスが明らかにしている。
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20101206/1291637462
2011年1〜3月期や4〜6月期の電力消費量は10〜15%、貨物輸送量は15〜20%の伸びだった。これに対して、2013年1〜3月期の電力消費量の伸びは4.3%、貨物輸送量はマイナス0.8%。にもかかわらず、中国政府は同期間のGDPの成長率を7.7%と発表しているが、到底信用できない。
13年6月22日付日経朝刊に香港貿易発展局で研究総監を務める関家明という人物が、中国の統計について次のように明け透けに語っている。
「水増しと言っても良いし、でっち上げと言っても良いが、事情は複雑だ。」「全てが当てにならないというのではないし、当てにならないことの背後にある原因は毎度異なる。」「(エコノミストとして)いかにして当てにならない数字の中から、何かを見出していくのが仕事だ」

それでは、貿易額の水増しの理由は何か。その一つが熱銭の流入だ。中国は海外から投資資金が流入するのを禁止している。そのため不動産投資等の資金を国外から呼び込むために、海外企業への請求額を偽り、1の金額の品物を10の金額で請求し、そうして売買代金として入ってきた金額のうち9を投資に回すのである。相手企業もその点は分かっており、中国で投資するための便法として、このやり方を使っている。
中国で胡錦涛体制から習近平体制に代わってから、過去の悪弊を正すため、税関当局の監視を強化した。この結果、今年の1〜4月の輸出は前年同期比17.4%増だったのが、5月は前年同期比1.0%に鈍化した。中国は世界経済最大のリスクになりつつある。