認定支援機関の現状

金融円滑化法の出口戦略の一つが、経営革新等支援機関の創設。
税務、金融、企業財務に関する専門的知識や中小企業支援に係る実務経験が一定レベル以上の者を、経営革新等支援機関として認定。中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備しようというもの。中小企業経営力強化支援法に基づき定められ、平成25年6月5日時点で11,156の認定機関が存在する。その中核をなすのが、税理士だが、司法書士中小企業診断士、弁護士等も認定を受けている。ちなみに私が代表を務める法律事務所ホームワンも認定を受けた。
認定機関の最大の役割は、金融円滑化法の適用を受けて支払いの猶予を得ている中小企業をサポートし、経営改善計画の作成を手伝うことだ。金融検査マニュアルにより、銀行等の融資先は、正常先、その他要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に大きく分かれる。このうちその他要注意先と、要管理先の区別が重要だ。ワンランク違うだけだが、貸し倒れに備えた引当率が大きく違っている。三井住友銀行の場合、正常先が0.2%、その他要注意先が4.7%、要管理先が52.6%、破綻懸念先が89.8%、実質破綻先及び破綻先は100%だ。支払いの猶予を受けた場合、本来なら要管理先になるのだが、経営改善計画を金融機関に提出することでその他要注意に踏みとどまることができる。そうすれば銀行から、その後も融資を受けられるのである。
http://www.smfg.co.jp/investor/financial/latest_statement/h1709fgfi_pdf/h1709_3_10.pdf
しかし、支援機関は大量に認定されたが、支援機関により経営改善計画の策定が進んでいるという話は聞かない。というのも、多くの金融機関が、経営改善計画の提出がないまま、支払いの猶予を続けているからだ。そのため、中小企業も危機意識が乏しく、支援機関の力を借りて経営改善計画を作ろうという気がなかなか起きないのであろう。
しかし、ぬるま湯に浸かっていては、やがてそこからも出られなくなる茹でガエル状態になってしまう。そうなる前に、早く経営改善計画を策定し、収益改善を図ってほしい。一昔前の企業再生は、 バランスシート調整だけで済むことも多かったが、現在は収益を生み出す会社にするべく、P/L重視に切り替わっている。そのためには、一日遅れればそれだけ収益を生み出すだけの体力は奪われていく。茹でガエルになる前にぜひ相談に来てほしい。