欧州銀行の苦境

欧州大手10行の決算はうち9行が減益、前年同期赤字のRBSはさらに赤字を拡大した。減益の理由は、欧州経済の減速と、バークレイのLIBOR不正操作、HSBCのマネロンによる課徴金も影響した。
問題はその先。来年13年3月にはバーゼル3が開始される(完全施行は19 年3 月)。減益下で、銀行は自己資本増強を進めねばならない。増資は難しく、欧州銀はリスク資産の圧縮や顧客対象の絞り込みを加速させている。欧州銀で最高益のHSBCも各国で保険事業を売却している。
こうした中で、かつて日本の不良債権処理の過程でも貸し渋りが起こったが、欧州でも同様の状況におかれることになる。新興諸国への最大の貸し手でもあった欧州銀がリスク資産の圧縮をするとなると、新興国への資金の流入が減少する。政府なり、EFSF、EMSが資本注入するとなると、EU国内に資金供給するよう当然圧力もかかってくる。アジアは欧州銀に代わって、邦銀のほか、シンガポール、マレーシアの銀行も資金供給を増やしているが、スペインの大手銀行は南米向け融資が多いが、南米向け融資は大きく減少するだろう。
バーゼル3については、http://www.fsa.go.jp/policy/basel_ii/36.pdf