ギリシャ危機からスペイン危機へ

スペイン国債の10年物利回りが、23日には7.6%をつけた。きっかけはスペインの地方紙が6州政府が中央政府に支援を求めているとの報道だ。今まで、スペイン政府は、EUに国内銀行への資本注入を求めていただけだったが、今後はスペイン政府自身が支援を求めてくることになるのでは、といった懸念が市場に広がった。
実際スペイン国債は長期だけでなく、短中期債の利回りも上昇している。24日には5年債の利回りが一時7.7%と、10年債の7.6%を上回った。2年債も7%近く、3年債も7%を超えているという。通常は短期債のほうが利回りが低いのが当たり前で、異常な事態と言える。
 スペインは、これまで、10年債だと利回りが高すぎるため、利回りの低い2年債、3年債を起債することで財政をまかなってきた。その手が使えないとなると、スペイン政府自体が支援を求めることにならざるを得ない。今はスペイン政府の平均利回りコストは4.1%ほどだが、今後これは上昇し続けざるを得ない。
 さらにユーロ圏諸国の支援も不透明感が出始めている。
 ユーロ首脳会議で、スペイン国内銀行向けに、最大1000憶ユーロを支援することを決まったのが6月29日、しかしユーロ圏財務相会議が正式に支援を決定をしたのは7月20日になってのこと。しかも、支援の前提として、ユーロ圏の銀行の監督権限を一本化する銀行同盟の成立が必要になるが、これも年末までには細部を詰めるということで、実施の時期はさらに遅れることになるし、細部を詰める中でドイツが異議を唱えれば空中分解しかねない。現に先の首脳会議が安全網による国債の購入を決めたにもかかわらず、フィンランド、オランダは「安全網による国債の買い入れは認められない」と公言している。
 ESMも当初7月1日に発足する予定が、ドイツでESM条約が違憲だとの憲法訴訟も起き、これも発足が遅れている。