中国経済減速懸念

 中国経済の減速懸念が広がってきた。
 4−6月のGDPは7.6%のプラス。成長率はこれで1年半にわたって低下が続いている。中国政府は今年のGDP成長率を8年ぶりに7%台に引き下げ、7・5%とし、今後は投資と輸出に頼った輸出から個人消費の拡大に重心を移したからとされているが、今年度は7%台に落ちることが分かっていたため、政権への信頼が失われないように目標値を下げておいたのだろう。
 中国の経済減速を示す数字はGDPだけではない、6月のCPIは前年比で2.2%上昇、前月比で0.6%低下(2年ぶりの大幅低下)した。6月のPPIは前年比で2.1%低下している。
 ただ、この数字もそのまま信用していいかは疑問である。かつて李克強が、自分は政府発表のGDPは信用していない、発電量で判断していると、米政府関係者に語ったことがウィキリークスで明らかにされている。
 特に今年は、習近平国家主席が交代する年である。間違っても7.5%を切るような数字を公表できる状況ではない。6月13日、国家開発改革委員会経済運用調節局の魯俊岭は「今年1〜5月の全国電力使用量は1兆9600億キロワットに達し、前年同期比で5.8%増となった。しかし、伸び率としては昨年同期の12.05%増から6.25%も低下した」「1〜5月のサービス業をはじめとする第3産業と国民生活の電力使用量は引き続き増加しているが、製造業をはじめとする第2産業の電力使用量の前年同期比の伸び率は3.8%増と、昨年同期の11.7%増から大幅に低下した。第2産業の電力使用量の激減で同期全国電力使用量の伸び率が約6%押し下げられた」と発表した。
 さらに国内石炭価格が急落している。7月9日付南方都市報によると、今年に入ってから国内石炭価格の主要指標である環渤海動力煤価格が急落している。昨年年末時の1トン当たり863元から7月11日現在1トン当たり652元に下落し、下落率は約24%に達した。また、5月初めの1トン当たり785元から約10週間連続下落しているという。
 国内報道によると、河北省にある中国最大の石炭取り扱い港である秦皇島港の石炭在庫は6月中旬時点で約940万トンに達し、2008年世界金融危機発生直後の水準を超えた。また秦皇島港を含む石炭輸送用港である環渤海の4つの主要港(秦皇島港、唐山曹妃甸港、唐山京唐港区および天津港)の石炭在庫は2000万トンを上回り、史上最高水準を記録した。石炭企業が最も集中する広東省の広州港の在庫も280万トンと高水準を推移している。