核の平和的利用から核の戦略的利用へ法改正?

6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則に、原子力基本法を改正し、「わが国の安全保障に資する」目的を加える条項が含まれていたということが世情をにぎわせている。この条項、当初の政府案にはなかったが、自民党の主張によって加えられたものだという。法案の国会提出から実質4日間のスピード審議の結果で、こんなことを決めていいの、というのが正直な感想。
国の安全保障とは、通常国防を意味するから、すわ核武装への布石かということで、早速韓国のマスコミも食いついている。
しかし、感心するのは、原子力基本法改正を直接謳わず、この条項を原子力規制委員会設置法の附則に潜り込ませたことである。附則とはなじみのない語かもしれないが、当該法令に関連して他の法令を一部改正する必要がある場合、当該他の法令を改正する規定を設けることができるのだ。この法案は本則以上に附則が異常に長く、うまい具合に目立たないように潜り込まされていたのである。おそらくは霞が関の役人の入れ知恵であろう。
附帯決議において、「我が国の非核三原則はもとより核不拡散についての原則を覆すものではないということを国民に対して丁寧に説明するよう努めること」とされたが、まだまだ論議を呼びそうだ。この安全保障を核拡散防止と読み換え、核処理施設建設を進めようという原子力村の企みというところが実際なのかもしれない。