メルコジは悪い冗談
フランスのある左派系の政治学者が「メルコジは悪い冗談」と言っているのを日経の記事で読んだ。「メルケルは権力をより確実なものとし、サルコジは既にない権力をふりかざしただけ。」ということらしい。左派系の学者がサルコジに批判的なのは当然だが、この発言は今のEUを良く現わしている。
EU、とくにユーロ圏内で、ドイツの経済的地位は絶大で、ドイツがごねれば一歩も進まない状況だ。
EUは本来ドイツを押えこむための政治的な仕組であったが、今ではドイツが他国を支配する仕組になっている。
ギリシャ危機についても、ギリシャ支援に消極的なドイツの発言(具体的にはメルケル、ジョイブレの発言)が絶えず、市場の足を引っ張った。今回のG20でも欧州債務問題については殆ど進展がなかった。「銀行の監督、破たん処理を含む、より統合した金融の枠組み(銀行同盟)を検討する欧州を支持」とは宣言されたものの、「検討」するというだけで、結果を約束した訳ではない。ドイツが首を縦に振らなかったということだろう。
ユーロが下がれば下がるほど、ドイツ商品の国際競争力は上がるので、ギリシャ危機でユーロが下がろうと、さほどの痛みはない。もっとも、このままドイツがわがままを続けられるかは問題だ。確かに今は、スペインの国債の利回りが上がっても、ドイツの国債の利回りは逆に上がっている。今はユーロ内部でマネーがスペインからドイツに移動しているだけだ。しかし、ギリシャの後にスペインが、次にイタリアが続くとなると、ユーロ全体の信認問題になる。マネーはドイツからも逃げ始める。