中国 3年半ぶりの利下げ

 6月7日、中国人民銀行は商業銀行の貸出基準金利(期間1年)を0.25%引き下げ6.31%に、預金基準金利も0.25%引き下げ1年物定期預金金利を3.25%とすると発表した。
 また金利自由化措置も採用し、銀行が自由に決められる金利の幅を広げた。従来は貸出金利は原則として基準金利の0.9倍が下限だったが、これを0.8%に引き下げる。預金金利の上限については、基準金利の1.1倍まで認めることにした。
 これは良いニュースなのか、悪いニュースなのか判断に迷うところだ。利下げ自体は良いことだが、中国経済の減速懸念が伝えられる中、利下げは不安をかきたてる要素でもある。
 11年前半はPPIが7%、CPIが5−6%あったが、現在はPPIはマイナス、CPIが3%程度。以前に比べて金利負担は実質的には重くなっているのではないか。
 ところで、銀行が国有大企業には融資しても、民間の中小企業に融資せず、中小企業の資金繰りの悪化が懸念されている。これも金利が硬直化しているからではないか。金利が同じなら銀行も中小企業より大企業に貸すのが普通だろう。
 そろそろ中国の経済指標が公表される。経済指標の悪化をあらかじめ知った政府が、先手を打って利下げしたという見方もある。