バーナンキの「行動する用意」

バーナンキが6月7日の上下両院合同委員会で証言し、欧州不安が拡大した場合の対応について「行動をとる用意がある」と述べたという。前日イエレン副議長が、欧州問題の米経済への打撃を回避するため一段の緩和策が必要になるとの発言をしていたため、同日のバーナンキ証言が注目されていたが、踏み込んだ内容のものとはならなかった。
 5月の雇用統計は非農業部門雇用者数が6万9000人増と、予想の15万人増を大幅に下回るなど、米国の雇用の回復の鈍化が目立っており、欧州もギリシャの再選挙、スペイン金融機関への公的資金注入が叫ばれるなど、経済全体が弱含みの中、FRBがどう動くかが注目されている。早ければ19─20日に開催されるFOMC会合で、QE3の実施が決まるのではないか、との見方もある。
 ただ、緩和措置といっても、とりうる政策の余地は限られている。国債購入枠の拡大、MBS購入まで踏み込むのか、それともツイストオペの延長にとどまるのか。QE2は、QE1ほどの経済効果をもたらさなかったし、すでに市場はFRBの追加緩和を織り込み済みのため、QE3が実施されてもどれほどの効果があるのかは疑問だ。しかし、FRBは、それでも「何か」をせざるを得ない、そういった立場にあるのではないか。