戦時徴用工問題

 5月24日韓国最高裁が、個人請求権の消滅を定めた65年の日韓請求権協定の効力を戦時徴用工には認めないという新しい判断を示した。
 日韓請求権協定は、1965年に締結され、日本からの経済援助と引き換えに、日韓双方の国民が賠償請求権を放棄すると規定している。日本でも同様の訴訟が提起されたが、日本の最高裁は同協定に基づき個人請求権は消滅したとして、戦時徴用工からの賠償請求を認めなかった。日韓で司法の判断が分かれた形だ。
 李明博大統領が、最近になって従軍慰安婦の問題を言い始めたのは、韓国の憲法裁判所の「韓国政府が元慰安婦の賠償請求権問題の解決に努力していないのは憲法違反」との判決を下したことが原因となっている。
 今回の戦時徴用工判決を契機に、協定に基づき日本からの経済援助資金を受け取ったポスコが、韓国政府が設立を準備する元徴用工の支援財団に100億ウォン(約6億7000万円)を寄付することになった。また他にも資金を受け取った韓国道路公社などが寄付を検討している。
 従軍慰安婦問題は、韓国民対日本政府という構図なので、政治が関与してくるのは必然かもしれないが、戦時徴用工問題は、元徴用工対民間企業という構図なので、政治が関与しにくい構図にはなっている。