白川総裁 重大発言

 日銀は4月10日に開いた金融政策決定会合で、金融政策運営の現状維持を決定したが、残念な結果であるが、大方の予想通りである。ただ、その後の会見で白川方明総裁は、デフレ脱却に向けた決意をあらためて表明するとともに、次回27日の会合で公表する展望リポートの重要性にも言及した。
 白川総裁は会見で、4月の展望リポートについて「非常に大事」と強調し、「経済・物価情勢を特に念入りに点検して適切に政策運営をしたい」と発言。さらにデフレ脱却は日銀にとって「極めて重要な課題」と繰り返し、望ましい物価上昇率を「できるだけ早く実現したい」とも語った。
 日銀は2月にCPI上昇率1%を目指して強力な金融緩和政策を推進していく姿勢を明確にし、資産買入基金を10兆円増額し、65兆円とした。
 今回の発言は、展望リポートにおけるCPI予測値如何では、追加緩和もありうることを示唆した発言だ。
 注目は明日の為替。そして、4月27日の政策決定会合での買入基金の増額が期待される。期待してていいんですよね。白川さん。

4月27日政策決定会合

結果は次の通り(政策金利は変更無し)
(1) 資産買入等の基金を65 兆円程度から70 兆円程度に5兆円程度増額する。その内訳は次のとおりとする。
① 長期国債の買入れを10 兆円程度増額する。
ETFの買入れを2千億円程度、J−REITの買入れを百億円程度、それぞれ増額する。
③ 期間6か月の固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションについては、応札額が未達となるケースが発生している状況を勘案し、5兆円程度減額する。
(2)買入れ対象とする長期国債の残存期間については、従来の「1年以上2年以下」を「1年以上3年以下」に延長する。
(3)基金の70 兆円程度への増額は2013 年6月末を目途に完了する。なお、本年末時点における基金の規模は従来通り65 兆円程度とする。

10兆円増額を期待する声もあったが、5兆円の増額にとどまった。

緩和姿勢明確に

 日銀の西村副総裁は4月18日の岡山市内の講演で「物価安定のめど」は弾力的なインフレ目標と説明し、物価上昇率1%を目指して追加的な手段を講じると改めて表明している。

金融緩和の日米欧比較

08年末以降12年4月時点での各中銀の資産残高増は次の通りで、日銀はまだ遅れている
 FRB 31%増
 ECB 35%増
 日銀  16%増