トヨタ 中国で懲罰的賠償の可能性はないか

中国当局 トヨタ車死傷事故多いと発表

 中国国家品質監督総局は、6月29日付記者会見で、今年1月から6月の上半期の製品の品質問題に関連して、自動車のリコール状況について、トヨタ自動車の名前を挙げ、「ブレーキなどの部品の破損が原因の事故が起きている。死傷者の数はやや多い」と発表した。具体的な車種としては、セダンタイプの「カムリ」や、日本ではマークXの名前で販売されている「レイツ」、そして、多目的スポーツ車タイプの「プラド」を挙げた。
 中国法では懲罰的賠償制度が定められている。中国の司法は法治ではなく人治で動く。今回の発表に政治的意図が込められているとすると、厄介なことになるかもしれない。

プリウス基幹部品中国で製造(9月5日追加)

 9月4日、次のニュースが新聞各紙で報道された。トヨタ自動車が、中国でハイブリッド車(HV)「プリウス」の生産を再開し、HV関連の基幹部品も現地生産する方向というニュースだ。第一汽車(中国語で「汽車」とは自動車を意味する)との合弁会社で(トヨタは49%の株式保有)、3代目プリウスの生産を来年をめどに始める。当初は、モーターや電池などの基幹部品は日本から輸出するが、中国での現地生産を段階的に増やす方向で、本格供給に向けて、パナソニックをはじめ、部品の取引先との調整に入った、という。
 かなり、うがった見方だが、トヨタの死傷事故についての当局の発表は、トヨタへの督促の意味を込めたサインだったのであろうか。
 中国政府は、レアアース、中国市場の提供を武器に、海外メーカーに技術移転を求める戦略をとっているが、これもその流れの一つである。