日経的 韓国礼賛は正しいか

日経が主張する韓国の強み

 8月14日付日経朝刊は、特集記事で、東レ炭素繊維という最先端製品の工場を韓国に建設したことを取り上げ、「日本企業韓国へ」「工場建設など投資相次ぐ」として、見本の成長戦略が遅れていると批判している。
 そして、日経の取り上げる韓国の強みとして次のものを挙げる。

  1. 韓国の産業用電力は日本と比べ料金が4割程度
  2. 法人税の実効税率も日本の約40%に比べ、24%と低い。
  3. 製造業の工員の賃金も日本の4割程度
  4. 高学歴社会でも就職難で優秀な人材を採用しやすい。
李明博の支持率は

 李明博の支持率は7月6日時点で29.6%。決して高い数字ではない。平昌への18年冬季五輪招致成功で36%に上がったが、瞬間風速的なものであろう。
 与党ハンナラ党の支持率も低下している。10年6月の全国統一地方選挙で惨敗。11年4月27日に行われた補欠選挙で,野党民主党が事実上の勝利を納め,民主党の支持率は8ヶ月ぶりに30%代を回
復。5月に入り,ハンナラ党民主党の支持率が逆転。これは09年6月の盧武鉉元大統領死去の際に一度逆転した以外では,現政権下では初めてのことである。現在は299議席中、ハンナラ党が169議席民主党が87議席と、安定した政権運営が可能な数字だが、12年4月の総選挙ではどうなるか分からない。さらに12年11月には大統領選挙が行われる。
 李明博は確かに「経済大統領」との呼び声どおり、GDPの成長率では合格点をたたき出している。欧州、インドとFTAを締結。日本を大きく引き離している。しかし、日経が支持するほど、韓国民は支持していない。それは何か。
 それは日経が上げた韓国の強みそのものにある。まず韓国の産業用電力が安いのは事実だが、政府が補助しているからだ、その分民生向け電力は割りを食っていることになる。
 また法人税率の低さも企業優先の現政権の姿勢をあらわしている。
 工員の賃金も低さも問題だ。世界各国はリーマンショック後も賃金が上昇しているが、韓国は逆に低下している。
 韓国の上場企業の時価総額の4割をサムソンが占めている。現政権は、サムソン、LG、現代という大手企業グループの経済活動を支援し、この大企業の成長力をそのまま韓国の経済成長につなげようとしている。しかしそれ以外の内需企業、中小企業は経済成長から取り残されている。韓国人の夢はサムソン等の大企業に入社して、勝ち組になること。しかし、そうしたコリアンドリームをかなえることができるのはごく一部。大多数の大卒労働者は就職難にあえいでいる。